ニッケイ新聞 2011年6月14日付け
パロッシ元官房長官の資産急増問題に端を発した政局混乱解決策の第2弾として、ジウマ大統領が10日、イデリ・サウヴァッチ水産相を大統領府調整担当長官に指名と11日付伯字紙が報じた。12日付フォーリャ紙によれば、ジウマ政権の評価は同時期の第1期ルーラ政権より高いが、これからが真の評価を受ける時期となる。
パロッシ氏が僅か4年で資産を20倍に増やしたとの報道による政局混乱の解決策として、官房長官交代に続いて行われたのは、大統領府調整担当長官へのイデリ・サウヴァッチ水産相抜擢だ。
昨年末まで上議だったイデリ氏は、ルーラ政権下の8年間、常に政府擁護の立場を貫き、労働者党(PT)リーダーを2度、政府派リーダーを3度務めた。論調がやや激しく、アスペロ(ざらざらした)と評されるが、本人は「対話を心がけ野党側の意見にも耳を傾ける」事と、山積みになっている人事や議員立法の事業経費払出しの迅速化を約束した。
政府と議会、政党間の調整などは、〃ジウマ政権の首相〃〃スーパー大臣〃とも呼ばれたパロッシ氏が果たしていたが、職務多忙で、局長クラスや公団公社の役職者の任命が遅れた事は、連立与党内に不満を募らせる原因となっていた。
前任のルイス・セルジオ調整担当長官はイデリ氏の後任として水産省に移り、13日に二人の就任式が行われるが、5月15日付フォーリャ紙がパロッシ氏の資産急増問題を暴露してから3週間余が過ぎ、官房長官交代劇後の9、10日に行われたダッタフォーリャ調査での現政権は、パロッシ疑惑やインフレ高進懸念にも拘らず、最良/良49%、普通38%、悪/最悪10%と、同時期の第1期ルーラ政権よりやや高めの評価。
ジウマ大統領については、決断力ありが3月半ばの79%から62%、とても賢いが85%から76%、真実が65%から62%に低下。3月には共に44%だった民主的か独裁的かという評価は、民主的52%、独裁的41%と好転した。
同調査では、前大統領が現政権の決断に関わっている77%、関わるべき64%など、ルーラ人気が依然として高い事も示唆。大統領候補になった事もあるシロ・ゴメス氏は、パロッシ氏擁護のために前大統領がブラジリアに乗り込んだ事は間違いだと指摘したが、低所得、低学歴層中心に、ルーラ信奉が続いているのがブラジルの実態だ。
グレイシー・ホフマン新官房長官とイデリ調整担当長官はジウマ大統領の指名で、前大統領指名のパロッシ氏更迭とPT内部の勢力争いに左右されない人選を行った時点で、ジウマ大統領が再就任との声もある。野党側は世論調査の結果は前政権の人気を受け継いだものと判断しており、現大統領、現政権の真価はこれから問われる。