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今度は運輸省で大型汚職=大臣残るも幹部ら更迭=鉄道や国道建設で不正働く=国庫庁や連警加わり捜査へ

ニッケイ新聞 2011年7月6日付け

 官房長官時代からジウマ大統領の看板であった経済活性化計画(PAC)に含まれる鉄道や高速道路建設で不正が行われていたとして、運輸省幹部職員らが更迭されたと3日付伯字紙が報じている。大統領は、アウフレッド・ナシメント運輸相に捜査の責任も委ねたが、野党側は議会審議委員会(CPI)設置も求める意向だ。

 3〜5日付伯字紙によると、運輸省絡みの不正にはナシメント運輸相が所属する共和党(PR)のヴァウデマル・C・ネット下議も関係しており、PR党メンサロンの言葉も使われている。
 Veja誌が運輸省関連事業での水増し請求その他の不正を暴いたのを受け、2日に大統領と電話で連絡を取り合ったナシメント運輸相は、同日中に、ルイス・アントニオ・パゴット輸送インフラ局(Dnit)事務総長、ジョゼ・フランシスコ・ダス・ネベス技術建設鉄道会社(Valec)社長、マウロ・バルボーザ運輸省秘書室長、ルイズ・チト・ボンヴィニ補佐官に更迭を通達した。
 運輸相は、マット・グロッソ州元知事のブライロ・マギ上議やルーラ元大統領が後ろ盾のパゴット氏や、エンリッケ・メイレーレス元中銀総裁が後ろ盾のネベス氏の更迭は避けたかった様だが、大統領に説得され、少なくとも真相解明までの更迭を決めたという。
 連警によれば、南北鉄道7区画が七つの企業連合にそれぞれ割り当てられたのは事前に調整されていたためで、ネット下議が割り振りを担当。水増し請求や追加予算請求などで便宜を得た建設業者は、国から受け取る金額の4%、コンサルタント会社も5%をPRに納めていたようだ。
 連邦会計検査院(TUC)によれば、今年に入り追加予算請求が出ている運輸省関連事業は46件。少なくとも11件で水増し請求などの不正が見られるという。特に、南北鉄道と東西鉄道関連の追加予算請求は今年だけで既に2度。国庫庁がいつ事業停止命令を出しても不思議ではない。
 国道工事でも、2010年の統一選挙で請負い業者が多額の寄付を行った174号線工事などが疑惑の対象になっている様だが、業者からの寄付を受け取ったのはPR関係者だけではない。
 ジウマ大統領は、ナシメント運輸相を現職に留め置くと共に、事件の全容解明などを命じたが、もう一度事が起これば解任の可能性が高い。野党側は、省の統括責任者が不正を知らなかったはずはないとして、議会審議委員会の設置と大臣召還を要請する意向だ。
 現政権には、アントニオ・パロッシ元官房長官関連疑惑に次ぐ問題発生だが、更迭されたパゴット氏やネベス氏の任命者はルーラ前大統領。Vejaへの情報提供者は、前政権時代から二人とそりの合わない大統領の意向を汲む政府関係者と見る向きさえあるという。