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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2011年7月7日付け

 まずは訂正ー。先月30日付け小欄で初の日系大臣だった安田ファビオ氏の逝去について触れた。父良一氏の経歴について日伯毎日新聞連載をまとめた『顔』をそのまま引用し、通訳五人男の一人と書いたが大間違い。正しくは、加藤順之助、嶺昌、仁平崇、大野基尚、平野運平。いやはや、コロニア記者として汗顔の至り▼さて。本日7面で紹介する「聴く移住史、音声版CD完成」。県人の100年を追った高知新聞の連載『南へ』をまとめた書籍をアナウンサーらがボランティアで吹き込んだ。すでに県内の図書館などに寄贈されている。〃移民の父〃水野龍を生んだ地元の皆さんの情熱に敬意を表したい▼取材記者の富尾和方さんによれば、「日本語は話せても読めない日系人に」という思いから始まったという。〃地元〃還元のため来伯し、ブラジル、アルゼンチン、パラグアイの県人会や文協に贈呈した。どう活用するかは知恵の出しどころ。保管するだけの死蔵はやめて欲しい▼読む移住史は多くあれど、聴く移住史はあまり聞いたことがない。もちろんあるにはあるが数は少ない。移民80周年を記念し、笠戸丸移民の証言を残したテープもあるが、音声がよくなかったと記憶する。あとは…といったところ▼本紙でも取材の映像を残しておこうと思うことがままある。数多くの移住体験を聞いても残るのは記事と写真のみ。その話し方、雰囲気、容貌といったものは伝わりにくい。ネットの時代になり、多くのニュース映像が流れる昨今。コロニアの今こそ、とも思うのだが…。つくづく歴史を伝えるのは難しいものだと感じる日々だ。(剛)