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労働市場の問題解決の鍵は?=熟練者の不足深刻に=職責果たせず辞める警部も=基礎教育からの見直し必要

ニッケイ新聞 2011年7月9日付け

 全国工業連合(CNI)が6日、全国の民間企業1616社中69%が熟練者の不足に直面との調査結果を発表した。情報産業での熟練者不足数は2013年に20万人に達するといわれる一方、建設現場の片隅でポルトガル語や算数を教える会社もあるなど、労働力確保のための産業界の苦悩は続いている。

 産業の発展や経済力の高まりと共に常に話題に上る労働力不足。特に、職責を果たすのに必要な知識や技能を有した熟練者の不足は、企業の競争力をそぎ、成長の妨げにもなりかねない。
 CNIの調査は、大手221、中堅464、小規模経営931の計1616社を対象に1月3〜26日に行ったもの。熟練者不足に直面していると解答した企業の78%は、外部機関との提携や自社教育により、人材不足を補っている。
 例えば、8日付フォーリャ紙によれば、ペトロブラス傘下の会社の一つでは、1万7500人の従業員中、安全確保のための注意事項が読めない機能的文盲が17%で、4年間の基礎教育さえ終えていない人も40%。基本的な計算が出来ない作業員もいるため、ポルトガル語や算数の手ほどきをしてくれる会社と契約を結び、現場の隅に建てた教室で授業を受けさせている。
 また、高校や専門校を出ていても、機械操作や細かな作業について行けないなどの理由で、Senaiなどに入り、学びながら働く人も多い。
 専門校や大学を出た人の割合が多いのは、自動車関連産業や金融関係、石油・天然ガス関連企業で、その割合は、45・71%、38・17%、37・34%。反対に少ないのは、農業品加工の7%や建設産業17・8%など。
 求められる知識や技能は職種毎に違うが、職場で種々の問題に直面した時、状況に応じた判断や解決ができるような実力とリーダーシップを併せ持つ人材の有無は、生産性や製品の質、開発力や企業の競争力にも影響。再教育などへの投資増加は、商品価格などに間接的に跳ね返ってくる。
 一方、サンパウロ州では職責を果たせず職場放棄する警部が15日に1人、警部不在の市は200以上という7日朝のグローボ局の報道も、法学部卒などの条件を満たし、現場を取り仕切る能力や判断力を持つ人材の不足と、複数の市や役職兼任、危険と背中合わせなどの条件の割に低い給与などが一因だ。警部不在で、事件が起きても被害届の受付や捜査も不能では治安確保もおぼつかない。
 産業界や経済界は、熟練者不足の一因に基礎教育の不備を指摘。優秀な人材の国外流出の反面、外国人専門家へのビザ発行は13%増、定員割れを起こす大学増加の影で大卒でも使い物にならない人がいる現状と、高校生対象の国際的な学力テストの成績不振などの根は一つ。基礎教育については内容や給与も含む根本的な見直しが必要だ。