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環境が教育の成果を変える=生徒数や授業数の差は小=学校の立地条件は影響大=社会格差縮める政策必要に

ニッケイ新聞 2011年7月13日付け

 小中学生や高校生を対象に、教育の成果に影響を与える要因について分析した調査の結果が、11日付フォーリャ紙と12日付エスタード紙に掲載された。子供達や国の将来をも決める教育の現場はどんな状況なのだろうか。

 国家高等教育試験やプローヴァ・ブラジルなどの結果と実際の教育現場の環境に相関性があるのかないのかは、専門家ならずとも気になるが、両紙の記事を統合すると、低学年ほどクラスの規模や学校の立地条件などの影響を受けるようだ。
 サンパウロ市の高校を国家高等教育試験(Enem)の結果とクラスの規模、授業時間数などを基に比較したのはフォーリャ紙の記事で、Enemの成績上位40校中、38校は私立で、残りは国立1校、州立1校。
 アドヴェンチスタ・リベルダーデ校の55・2人など、公立高校よりも1クラスの生徒数が多い私立高校もあるが、全体の平均は公立校39人に対し、私立校26人。1日の授業数も、国立高の4・5時間から、私立ストックレル校の10・5時間まで様々だ。
 Enem上位40校で見るとクラスの規模や授業数とEnemの得点には大きな相関関係はなさそうで、留年率も0〜17・4%と差が大きい。
 一方、小中学校に当たる初等教育のクラスの適正規模は20〜25人とされており、私立の小中学校が1クラス平均20人という数字は、きめ細かい指導などを売り物にするところもある事を窺わせる。
 また、サンパウロ市東部の初等教育の現場を観察し、生徒の家庭環境がほぼ同じ場合、学校の周囲の状況で学習成果に差が生じるとの調査結果はエスタード紙が掲載している。
 公立小中学校61校の生徒の全国共通テストの得点を、テレビやビデオの所有率その他から割り出した各家庭の文化レベルや母親の学歴、学校の置かれた環境を加味しながら分析したもので、周囲の環境が整っていない学校では、文化レベルや親の学歴の低い生徒の半数が低得点で、学年相当の学力を有する生徒も全校の10%程度。
 一方、文化レベルや親の学歴が低くても学校の周囲の環境が整っていれば、共通テストの得点が低い生徒は38%に減り、学年相当の学力に達する生徒数も全校の24%になるという。
 また、文化レベルが高い家庭に育っても周囲の環境が整わない学校に通う生徒の成績は、周囲の環境に恵まれた学校に通う生徒と差があり、学校の立地条件の影響は大きいとも報告されている。
 各地区児童を受け入れる初等校の立地条件は、質の高い教師が獲得できるか否や生徒の留年、退学率にも直結する。基礎教育課程での留年はその後の学習成果への影響も大きいため、治安確保や児童就労回避、教師養成や訓練支援など、自治体側の積極的かつ創造的な取組みも必要となる。