ニッケイ新聞 2011年7月16日付け
【既報関連】大臣の交代劇まで起きた運輸省とその傘下の公社絡みの大型汚職事件は、新たな理事更迭など、不透明感を更に深めている。国会に召還された輸送インフラ局(Dnit)のパゴット総務理事が、公社内の幽霊職員の存在も明らかにするなど、前政権時代に始まった汚職事件の真相解明が待たれている。
ジウマ大統領の看板政策の経済活性化計画(PAC)は運輸省絡みのものが多いが、そういう意味で、PAC関連の道路工事の責任を負うDnitのルイス・アントニオ・パゴット総務理事の国会での証言は、ジウマ大統領やパウロ・ベルナルド通信相が恐れるものでもあった。
12、13日付伯字紙によれば、上下院に連日召還されたパゴット氏は、Dnitが扱っていた工事に関する報告は、ルーラ政権の官房長官としてPAC推進の責任を負っていたジウマ大統領や、企画相を務めていたベルナルド通信相にも伝わっていたと明言。ジウマ大統領に関しては「運輸省内で起きていたすべての事を知っていた」との供述もなされた。
その一方、Dnitは理事会が全員一致で承認した事業以外は行っておらず、水増し請求や不正な形での追加予算請求などの告発は根拠がないとも証言した。
同証言後は、アルフレッド・ナシメント元運輸相からの通告以来休暇入りしている同氏を元の職に戻すべきとの声も高まったが、元の職に戻せば現政権閣僚らに火の粉が降りかかる様な証言をしなかった事への報酬と取られると考える大統領は、同氏をDnitから除外する意向だ。
一方、15日付G1サイトによれば、パウロ・セルジオ・パッソス運輸相が15日、総務理事代行中のジョゼ・エンリッケ・サドキ・デ・サーDnit理事を更迭。妻の会社が、2006〜11年に請け負った国道工事で1800万レアルを受け取っていたとの15日付エスタード紙の告発記事が引き金だ。
また、Dnitのフレデリコ・A・デ・オリヴェイラなる人物は、運輸省の実権を握る共和党(PR)副党首、ヴァウデマル・コスタ・ネット下議と懇意で、正規職員ではないにも関わらず、運輸省や交通運輸関係行事にDnitの名前で出席し、各州知事や市長にも会っていると15日付フォーリャ紙が報道。
ヴァウデマル下議については、共和党や関連政党の上議6人、下議65人に絶対的な権力を持ち内情を知り過ぎている人物と10日付エスタード紙も報じている。
パゴット氏は、Dnitには労働者党(PT)の理事がおり、事業の大半は彼が指揮していたとも証言しており、国庫庁や連警が乗り出しての捜査は、PRやPT、現職閣僚や現職議員にまで及ぶ可能性が出ている。