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みんなお腹いっぱい!=45県人会が腕まくり

ニッケイ新聞 2011年7月19日付け

 「カレー、うどんとも昨年の2倍は出た」と満面の笑みを見せるのは、滋賀県人会の山田康夫会長。自慢の「特選カレー」は最適の肉を求めて8種類の肉を試し、3種類のルーをブレンドする徹底ぶり。
 肉うどんの出汁は、かつおぶし、いりこだし、本だしを混ぜ、本格関西風にこだわった成果が形になったようだ。
 4年前から、鳥取県人会はヤクルト和牛の牛丼を提供している。柔らかな歯ごたえにこくのあるタレが絡み、ふくよかな味わいが人気の一品だ。
 本橋幹久会長は、「今年は4県人会が牛丼を出しているが、ヤクルト和牛はウチだけ。味の違いを楽しんで欲しい」と胸を張った。
 大分県人会は毎年恒例の団子汁とトリ飯を今年は格安セットで提供する工夫を凝らした。単品の7レアルずつを、セットでは12レとお得だ。
 「美味しいものを少しずつ沢山の種類を食べたいはず」と伊東信比古理事の目論見通り、好評の売れ行きを見せた。また、ニンニクとショウガを利かせた牛のタタキが「ビールのつまみに最高」と喜ばれていた。
 埼玉県人会の中辛で濃厚なカレーライスは、ちょっとリッチに『弥勒米』を使用。炊き具合抜群の一皿は、ごはん好きを唸らせた。「昨年より多かった。客の呼び込みで声が枯れました」と関係者の笑顔がこぼれた。
 今年度初出品という山形県人会の芋煮。1杯8レアルの具沢山。ゴロゴロと入ったちくわやしめじ、里芋が嬉しい。
 軽くまろやかな味で家庭伝統の味を押し出したが、「購入者は日系人ばかりだった」との声も漏れた。
 埼玉県人会は、初めて「酒ピリーニャ」を販売。東麒麟をイチゴ、マラクジャ、ぶどうのジュースで割った。バーテンダーがシェイクして作る本格派だ。夜になると良く出たそうで、「一番人気はイチゴだった」とか。
 何食売り上げるかが毎年注目の和歌山県人会のお好み焼きは、今年で10年目の定番メニュー。
 何と3日間で約4500食の新記録を打ち立てた。ピーク時には5つ隣のブースまで長蛇の列ができ、「和歌山のお好み焼きは美味しいと聞いた」「今年も楽しみにしていた」との声も。
 県人会だけでなく、援協も頑張った。1個3レアルのお手ごろ価格で、日本の伝統的コロッケを販売した。ブラジルにはないカリッとした衣が人気の秘訣。
 おいしそうな表情でコロッケをほおばる客たちが店の前を賑わした。今回初めての挑戦だったがほぼ完売。
 焼き鳥も人気で「特に焼き鳥弁当は好評で、土曜日だけで300食が売れた」と上々の売れ行きに笑顔を見せた。
 各県人会の法被を着た婦人部や青年部の威勢のいい呼び声が聞こえる中、来場者はあちこちのブースから持ち寄った食べ物を友人や家族で分け合っていた。
 サンパウロ市在住の湊矩良さん(66、宮崎)、恵美子さん(56、東京)夫妻は、「石川の桜餅に山形のしそ巻き。お土産で迷います」と笑顔。
 アルゼンチンから訪れた森本佳奈さん(22、滋賀)は、「お袋の味がする。日本でもこれだけ各県の料理を楽しめるイベントはないのでは」と声を弾ませた。