ニッケイ新聞 2011年7月26日付け
2010年国勢調査の結果、肌の色は黄色と答えた人が、2000年より132万人増の2・7倍となり、人口全体に占める比率も0・45%から1・09%に上がったと23日付エスタード紙が報じた。
肌の色が黄色のアジア系人口が10年間で2・7倍(173・1%増)という調査結果は、黒人や褐色(混血)、先住民が11・4〜37・6%の増加に止まり、白人は0・3%減った中で、突出した現象といえる。
地理統計院(IBGE)によれば、2010年の国勢調査で肌の色は黄色と答えた人は、2000年より132万2千人増の208万4千人。数字そのものは決して大きなものではないが、同年の国勢調査での総人口は1億9075万5799人だから、アジア系人口は総人口の1・09%となり、2000年の0・45%と比べ、大幅に伸びたことになる。
最大のアジア系コミュニティを有しているのはサンパウロ州で、アジア系の人の総数が最も多いのも南東伯だが、2010年の調査では、各州人口に占めるアジア系人口の割合が最も高いのは、南東伯ではなく、北東伯である事も明らかになった。
アジア系人口が州人口比で最も高いのはピアウイの2・3%。農牧業への進出が著しいが、アジア系人口が14倍になった州都テレジーナでは、ランショネッテでパステルやサトウキビの絞り汁を売る中国人の増加が目立つという。
セアラ州都のフォルタレーザも、アジア系人口が3500人から3万3千人に急増しており、タピオッカを売る店より、中国人にもなじみやすい日本食の手巻き寿司店の方が多いという。北東伯全体のアジア系人口は、6万7千人から63万1千人に増えている。
法務省によれば、正式にビザを得て入国した中国人の数は、2009年の2万8500人から3万5200人に25%増加。2000年の国勢調査での1万5千人から見て倍増以上だ。
北東伯のアジア系人口増加は同地域が経済的に伸びてきている事を反映しているが、農業やエネルギー部門を中心とした中国企業進出に伴う技術者の増加と共に案じられるのは、観光ビザなどで入国して居座る不法滞在者の増加だ。中国製品を非合法ルートで安く輸入して売る商人増加はサンパウロ市などで顕著。中国人を狙う強盗事件多発や、非合法の店封鎖で中国人商人達が警官に抗議などの報道は記憶に新しい。
また、日本への出稼ぎや移民100周年などを契機に、従来は白人と申請していた混血者が黄色と申請するようになった事や、国際的な金融危機で帰国者が増えた事もアジア系人口増加の一因。労働省が外国人への就労ビザ発行を認めるようになってフィリピン人が増えた事などもアジア系人口増に繋がったようだ。