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サンパウロ市=上半期の殺人事件28%減少=州全体でも12%減る=強盗や窃盗は増加の傾向=泣き寝入りせず被害届けを

ニッケイ新聞 2011年7月27日付け

 サンパウロ州保安局が25日、今年上半期のサンパウロ市での殺人事件は昨年同期比で28%減り、10万人当たり8・3人になったと発表したと26日付伯字紙が報じた。州全体では10万人当たり9・6人で12・2%減。パトロール強化などが効を奏したという軍警は、次の目標は強盗や窃盗事件の発生抑制と説明している。

 サンパウロ市での殺人事件発生は1999年を境に減少を続け、10万人当たり60人超だった殺人事件被害者は今年上半期、1965年と同レベルの10万人当たり8・3人まで減った。
 10万人当たり10・6人だった昨年同期比でも28%減という数字は配置などに工夫を凝らした結果と見ているのはマルコス・カルネイロ軍警大佐で、警官の数は同じだが、パトロールなどの外回りを増やした事が奏効と説明している。
 サンパウロ市の殺人事件発生率は2009年に若干増えたものの、順調に下降線を描いており、サンパウロ州全体の殺人事件発生率を12%余り引き下げるのにも大きく貢献した。
 ただ、車や携帯電話などの所持品を狙う強盗や窃盗事件は増えており、それに伴った強盗殺人もサンパウロ市で12%、大サンパウロ市圏で30%、内陸部では21%増というのは気がかりだ。
 車の盗難はサンパウロ市で7・5%、州全体で10%増えているが、金品の盗難も合わせた強盗・窃盗事件はサンパウロ市で11・5%、州全体で6・4%という数字と重ねると、サンパウロ市での所持品盗難頻発が浮き上がってくる。
 サンパウロ市西部のヴィラ・オリンピアで20日に発生した強盗事件は、金を下ろして来るよう指示されたモトボーイが、現金を持って銀行を出たところで二人組に襲われ、現場に来合わせた私服警官と犯人が銃撃戦を展開。警官と犯人の1人が死亡する事件となった。
 また、ピニェイロス付近で多発しているのは、バイクに乗って被害者を物色し、歩道にまで乗り上げて金や所持品を奪うという事件。携帯電話で話していた歩行者や、店の前のテーブルで食べていた客などが被害に遭っており、警官に止められにくい一人での犯行が多いという。
 地下鉄や都市近郊電車(CPTM)の駅構内や車両内の窃盗事件も増えており、スリや置き引きは日に9件、6カ月で1620件を記録した。
 州内で強盗殺人事件増加が目立つのはリベイロン・プレット地方やピラシカバ地方。サンパウロ市より面積当たりの警官配置数が少なく、手薄になる事が犯罪減少を妨げている可能性があるが、犯罪者は昔より暴力的になったと指摘する声もある。
 小型でも高額な商品の増加やインターネットでの被害届けが可能になった事が盗難事件増加の一因と見る警察は、被害に遭っても抵抗しないよう忠告すると共に、被害届けを忘れずにと呼びかけている。