ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 変化するブラジル人の食生活=加工食品類の摂取増加=時間なくても食べられる?=カロリーや塩、糖分過多

変化するブラジル人の食生活=加工食品類の摂取増加=時間なくても食べられる?=カロリーや塩、糖分過多

ニッケイ新聞 2011年7月30日付け

 地理統計院(IBGE)が行なったブラジル人の食に関する調査によると、米とフェイジョンを基本とする食生活は保たれているが、栄養バランスは悪く、カロリーや塩分、糖分を摂り過ぎと29日付伯字紙が報じた。青少年の食の質低下は特に著しく、専門家は健康的な食生活についての指導が必要と訴えている。

 IBGEが08〜09年に1万3500世帯、10歳以上の3万4千人を対象にして行なった調査は、年齢や居住環境なども加味した上で、個々人の食生活を分析した初めての試みだ。
 食事の中心は米とフェイジョン、カフェで、2日の調査で最低1日食べた物は、米84%、カフェ79%、フェイジョン73%。一人当たりの量も、カフェ215・1グラム(cc)、フェイジョン182・9グラム、米160・3グラムと不動だ。
 これ以外に食卓に上がる食品は、塩味のパン、牛肉、粉末タイプも含めたジュース、油脂、鳥の肉、炭酸飲料、スパゲッティなどの麺類で、スープ類も好まれている。
 炭水化物やたんぱく質は米やフェイジョン、肉類で補われているが、決定的に足りないのは野菜や果物。1日400グラムという適正量を摂取したグループは、年齢や収入、居住地などのどの条件で見ても皆無だ。
 繊維質不足で、炭酸飲料やビスケットなどの摂取で糖分過多とあれば腸の働きも悪くなる。更に輪をかけるのが加工食品の摂取で、揚げたり焼いたりしたサウガードや市販のサウガジーニョの消費が増えれば、塩分の摂り過ぎも助長される。
 市街地に住む人は外食も多く、ビール摂取や、サウガード、ピザなど、脂肪分や塩分が多い食品消費が増えがちで、野菜や果物の摂取も農村部より少ない。
 10〜18歳の青少年の食事は、糖分、塩分、脂肪分の摂取がいずれも多く、繊維質不足も深刻だ。大人以上に質が悪い食生活では将来の健康への懸念も大きくなる。
 ブラジルの食生活の変化には、労働時間や所得増で完成品や半完成品の利用や外食、クリーム入りビスケットやサウガード、炭酸飲料などの購入が増えている事も影響。
 ルーラ政権当時、生活扶助対象家庭のビスケットやスパゲッティなどの加工食品摂取量増加と共に、体重不足の形の栄養失調減少の一方、肥満が増加と報じられた。
 高所得者はダイエットタイプ食品や果物、野菜の消費も多く、より健康的との記載は経済力を反映。北伯は魚、中西伯は肉の消費が多いなどの地域特性や、青少年の炭酸飲料摂取は60歳以上の3倍などの世代毎の食性の違いはあるが、ビタミンA、D、Eやカルシウムの不足は全体的。
 糖尿病は人口の1割、適正体重を超える人も多い中、成人病や骨粗しょう症回避の意味でも、多くの色と食材を使った献立作りや乳製品は鉄分と一緒に摂らない等の具体的な指導が必要だ。