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貿易収支黒字徐々に拡大=7月は31・3億ドル=コモディティや機械を輸出=レアル高でも対策はあり

ニッケイ新聞 2011年8月2日付け

 ドル安レアル高で輸入が増え、国内企業の競争力喪失が懸念される中、開発・産業・貿易省(MDIC)が1日、7月の貿易収支黒字は31・3億ドルで、今年の累積黒字は161億ドルに達したと発表したと同日付G1サイトなどが報じた。

 6月の貿易収支黒字31億3500万ドルは、13億4千万ドルだった昨年同月比133%増。7月24日までの累積黒字161億ドルも昨年同期比74・4%増で、今年の貿易黒字は90億ドル以下との年頭予想を大きく上回っている。
 31億3500万ドルの黒字額は、6月としては06年の56億5千万ドルを下回り、443億ドルだった5月比で29・2%減となるが、米国の債務不履行への懸念などでドル安レアル高が進む中での貿易収支改善は明るい材料だ。
 6月の輸出は昨年同月比31・9%増の222億5千万ドルで、輸入は同22・6%増の191億1千万ドル。今年の累積(輸出が前年同期比31・5%増の1405億ドル、輸入は27・5%増の1244億ドル)と比べ、輸入ペースやや減速と読めるが、これが消費減退に繋がり、主要都市圏の失業率やや拡大の報道と共に、経済減速を意味するかはもう少し観測が必要だ。
 輸出拡大にはコモディティ価格高騰の影響が大きいが、7月25日付G1サイトによれば、コモディティ以外に注目されるのは、鶏肉加工品とトラックやトラクター。
 上半期の鶏肉加工品販売は基準の厳しい欧州などでも増え、前年同期比38%増の2億8千万ドル。トラックは上半期に39・8%増の9億8900万ドル、自動車用エンジンは44・4%増の9億2900万ドルを輸出した。トラクター輸出は、その他の農業機械が40・7%減の3億9500万ドルに止まる中、56%増の6億1900万ドルを記録した。
 ブラジル産のトラックやバス、農業機械は、国内に多国籍企業も参入している事で世界的に競争できる質の製品を輸出できる点が強みだが、その上で経費削減などを試み、昨年13%、今年10%の輸出増となりそうなのはマルコポーロ社のバス。ブラジルのバス輸出は上半期に18%減少したが、同社は現地生産や現地調達とコスト削減で売上げや輸出を伸ばしている。
 履き心地のよさで知られる男性用靴製造のアナトミック・ジェル社は、「他社と同じなら競合不能」と明言。欧州で売上げ3位の同社は、国際市にも積極的に参加して市場を開拓し、上半期の輸出27・6%減、輸入23・5%増の製靴業界で輸出を伸ばしている。
 創業14年、国際市場進出4年の電子機器会社イノヴァ・システマス・エレトロニコス社も、保守が簡単でアフターケア万全を売り物に、製造過程自動化などで競争力を増し中国にも進出中。
 ドル安利用で機械類を安く購入など、為替不均衡を乗り越えようとするブラジル企業の努力は続く。