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農務相=告発に耐えられず辞表提出=ジウマが擁護決めた直後=後任はPMDBメンデス氏=現政権4人目の閣僚離脱

ニッケイ新聞 2011年8月19日付け

 傘下の国家配給公社(Conab)絡みの汚職発覚以降、マスコミ攻勢の的となっていた農務省のヴァギネル・ロッシ農務相が17日夕方、ジウマ大統領に辞表提出と18日付伯字紙が報じた。後任は、ロッシ氏と同じ民主運動党(PMDB)の下院リーダーで南大河州選出のメンデス・リベイロ氏が選ばれた。

 農務省絡みの汚職告発は、PMDBのロメロ・ジュカ上議の兄弟が7月に「国家配給公社は強盗の巣でヴァギネル・ロッシ農務相も汚職に関与」と発言して以降、湧き出すように続いていた。
 14日付フォーリャ紙では誕生したばかりの企業が同省予算受取額で10位、16日付伯字紙ではロッシ氏やその息子が農務省と関係のある民間企業の小型ジェットを頻繁に利用していたといった報道はその一端だ。
 ロッシ氏が辞意を固めたのは、マスコミからの圧力に加え、孫が学校でいじめられ、家族から依頼された事も原因。17日午後、ミシェル・テメル副大統領と共に大統領執務室に赴いた同氏からの辞表提出は、正副大統領にとって予期せぬ出来事だったという。
 ルーラ政権時代の2010年始めに農務相に就任した同氏は、新政権でもPMDBのミシェル・テメル副大統領直々の指名で留任した人物。副大統領子飼いの政治家の筆頭でもあるだけに、ジウマ大統領も、16日のPMDBとの会合でロッシ氏は解任しないと約束したばかりだった。
 局部長レベルの人事の遅れや予算の出し渋りなどで連立与党内の不満が高まる中、最大与党のPMDB所属で副大統領の長年の友でもあるロッシ氏更迭は政局運営上マイナスと判断していたジウマ大統領は慰留に務めたが、辞任の意は固く、覆らなかったという。
 現政権では、アントニオ・パロッシ官房長官、アウフレッド・ナシメント運輸相、ネルソン・ジョビン国防相に次ぐ4人目の閣僚辞任だが、ロッシ氏に関しては慰留に努めたというから、最大与党所属かつ同党内で絶対的な権力を持つ副大統領の息がかかる人物という事がいかに大きな要因かが窺われる。
 PMDB幹部が同日中に決めた後任候補のメンデス氏は農業畑の出身ではないが、南大河州での大統領選の選挙活動を支えた事もあって、大統領の覚えもよく、副大統領との関係も良好な人物。18日には大統領から正式な指名も受けた。
 農相辞任にはマスコミの執拗な報道攻勢が直接影響し、同氏の地元民間企業Ourofinoの小型ジェットを利用して旅をしていたとの報道は駄目押しとなったようだ。また、農務省元職員らから詳細な事情聴取を行うなど、連邦警察が本格的に捜査を展開し始めた時点で圧力が更に増したという。
 観光省絡みの大型摘発や農務相陥落への決定打など、このところ連警の活躍が際立っている。