ニッケイ新聞 2011年8月20日付け
18日の国際証券市場が欧州の銀行や米国経済への不安から再びパニックに襲われ、ブラジルでもボヴェスパ指数が3・52%下落と19日付伯字紙が報じた。世界的な景気後退への不安が高まる中、ブラジルでも6月の経済活動指数が前月比マイナスを記録するなど、経済減速感が高まっている。
18日の証券市場は、欧州各国の銀行が危ないとの情報に、米国での失業保険請求増加、世界経済の成長予想の下方修正など、様々な要因が重なり、イタリアの6・15%やドイツの5・82%を筆頭に、世界的な下落傾向を見せた。
08年の国際的な金融危機は米国発だったが、今回の経済危機は欧州の方が重症との見方が一般的。それを裏付けるかのように流れた欧州の銀行の資金が底をつきそうとの情報は欧州の証券市場を4〜6%下落させた。
他方、米国では、失業保険の請求が増え、6月はデフレだった国内市場が7月は再びインフレを記録など、同国の経済政策がいまだに不安定な事を示す数字が続出。
6月の日本の輸出の落ち込みや、モーガン・スタンレー銀行が世界経済の成長率予想を4・2%から3・9%に下方修正した事も、世界大の市場の動揺に繋がり、米国のダウ・ジョーンズは3・68%、ナスダックも5・22%下落した。
ブラジルのボヴェスパは、3・52%下落し5万3134ポイントとなったが、ブラジルでの指数低下には、中銀が17日に発表した6月の経済活動指数IBC—Brが、08年12月以降初となる前月比0・26%減を記録した事なども影響した。
6月のIBC—Brが前月比マイナスとなったため、第2四半期の経済成長は前期比0・69%に留まった。年率換算では3%以下で、第1四半期の4・5%〜5・5%と比べ大幅な低下だ。
過去12カ月累積の成長率は4・89%だが、上半期は3・74%、前年同月比も3・07%という数字は、1〜7月の雇用創出は前年同期比14%減の159万3千人で雇用創出のペースが落ちたとの17日付伯字紙報道などと共に経済減速化を印象付ける。
19日付G1サイトの工業界での信頼指数低下の報道や6月のIBC—Brなど、僅かな数字で経済減速をいうのは先走りかも知れないが、景気回復の鍵となった国内消費を引っ張ってきた中流階級は、クレジットカードや銀行融資の利用で借金漬けとなっており、2最賃までの労働者へのアボーノと呼ばれる給付金や生活扶助、給与の前倒しなどによって債務不履行を避けなければ、貧困層に舞い戻る人々が出てくる可能性ありとの17日付エスタード紙の記事も不気味だ。
前政権同様の成長を期待され、3%以下の成長という数字は受け入れ難いジウマ大統領は、19日も危機は国外の出来事と発言したが、インフレ抑制に成功しても、経済減速が本格化すれば国民の不満増長は不可避だ。