ニッケイ新聞 2011年8月23日付け
18〜18日に行われた電力関連の競売で落札した発電契約の48%は風力によるもので、水力や天然ガスによる火力発電より廉価だったと19日付伯字紙が報じた。水力発電所建設のため国立公園を縮小する計画もある中、環境保護や地球温暖化防止の意味でも喜ばしい傾向は、新たに表面化した国際的な経済危機の結果でもあるようだ。
2014年のサッカーW杯までの電力確保はジウマ政権の課題の一つだが、14年から供給開始となる発電計画の約半分の1929メガワット(MW)が、水力や天然ガス発電以下の廉価で落札されたとの報道は、今後のエネルギー政策にも影響を与えそうだ。
17、18日に行われた競売で最も注目されたのは、メガワット/時(MW/h)当たりの経費が100レアルを切るほど急速に値下がりした風力発電で、17日、18日の落札分は、平均99・58レアルと99・54レアルだった。
現在、全国の発電量11万MW中、5700MWを占める風力発電の落札価格は、2年ちょっと前まで200レアルMW/hだったもので、2009年競売で140レアル、2010年は130レアルと下がった後、一気に100レアルを切った事になる。
ブラジル風力エネルギー協会のリカルド・シモエンス会長によれば、この急速な値下がりは米国や欧州を襲った経済危機の影響で、欧米での成長は望めないと見た欧州の風力発電機器製造各社が、伸び代を残すブラジルでの注文を得るため、マージンを削った結果だという。
21、22日付各紙サイトによると、落札企業はイタリアの電力大手エネル社傘下のエネル・グリーン・パワー(EGP)や、スペインのエレクノル傘下のエネルフィンなど。MW/h100レアル以下という経費は、120レアル以上の天然ガス発電や水力発電も下回る額で、サンパウロ州の税制優遇処置で102・41レアルだったバイオマス発電さえ下回った。
風力発電はよい条件の風が吹く北東伯が中心で、EGPの場合、バイア、ペルナンブコ、リオ・グランデ・ド・ノルテの3州、50万世帯向けの電力770ギガワット/年を供給の予定。
一方、ジウマ大統領は、ロンドニア州内のタバジョーラ、サントアントニオ、ジラウの3水力発電所建設のため、従来ご法度のはずの国立公園3カ所の区画を変更し、更に2カ所の区画変更も行うとの報道は18日付エスタード紙。
ダム建設に伴う環境破壊や生態系への影響を懸念する人々からは大型の水力発電所建設反対の声も根強いが、22日付G1サイトは、先住民居住地破壊などで国際的な批判を浴びているベロ・モンテ水力発電所を持続可能なアマゾン開発のモデルケースとするため、25億レアルを投資する事をミリアン・ベウキオル企画相が発表と報じた。