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8歳児はお釣りも計算出来ず?=地域や社会の格差反映=公立と私立では2年の差=望まれる基礎教育の改善

ニッケイ新聞 2011年8月27日付け

 全国の州都にある小学校250校で試験を行った結果、8歳児の57%はお釣りの計算さえ出来ない事が判明と26日付伯字紙が報じた。ABCテストと名づけられた試験では、基礎教育レベルでも地域や社会の格差がある事が歴然とし、根本的な教育行政の見直しが必要な事が指摘された。

 学習指導要領における読み書き計算の基礎習得は小学3年生までが目標だが、年頭に小学3年生対象に行われたテストでは、57%はお釣りの計算も出来ず、読解力や作文力のない生徒も4割以上という結果が出た。
 読み書き計算の基礎完成度を測るABCテストは全国の州都にある小学校250校の6千人を対象に行われ、その結果は、地域別、公立、私立別に集計された。
 現行の基礎教育制度では3年生(かつての8年制では小学2年生)にあたる8歳児の学力は、3種類の試験で判断。読む、書くでは56・1%と53・4%が及第点を取ったが、算数で及第点獲得は42・8%。読んだ文の内容や表現の違いを理解出来る生徒や、自分の考えを正しい表記で表現出来る生徒は約半数で、お釣りや時間の計算がきちんと出来る生徒は5人に2人程度というお寒い結果だ。
 その上、南東、南、中西の3地域は6割以上が読む、書くで及第点を採ったが、北、北東の2地域は、読むで43・6%と42・5%、書くでは39・8%と30・1%と格差が歴然。
 この傾向は算数も同じで、南伯55・7%、中西伯50・3%、南東伯47・9%に対し、北伯28・3%、北東伯32・4%となっている。
 これを公立、私立の別で見ると、読むの全国平均が48・6%と79・0%、書くも43・9%と82・4%、算数では32・8%と74・3%というように、約2年分の学力差があり、公立校で及第点を取った生徒が6割を超えた分野は一つもない。また、北東伯の私立校では書くと算数、北伯の私立校も算数で、及第点を取った生徒が6割を切っている。
 小学3年生を対象としたABCテストは初の試みで、地域毎や公私の別による高校生の学力の差が、基礎教育レベルからの差の反映である事も判明。州都にある学校でも地域や社会といった格差が学力に表れたという事実は、労働市場や国際競争力といった分野にまで影響を及ぼす問題だ。
 今回の試験結果を分析した専門家は、基礎教育の徹底はすべての児童に保障されるべき権利であり、満足できる点数を取れた生徒が半数に満たない科目がある事や、地域格差、社会格差による学力差が歴然としている事は、教育行政の問題だと指摘。国の将来を担う子供達が読み書き計算も満足に出来ないという事実は、その子や孫の世代まで及びかねない問題だ。