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【沖縄県人会 創立85周年記念祝典】ウチナー魂の継承願い=上原副知事、12町村代表も

ニッケイ新聞 2011年9月3日付け

 「沖縄県系人の活躍は、先輩方のおかげ」—。ブラジル沖縄県人会(与那嶺真次会長)の創立85周年記念祝典が27日午後3時から、サンパウロ市リベルダーデ区の同会本部大講堂で盛大に執り行われた。会員や関係者約600人が駆けつけたほか、母県からは上原良幸副知事ら10人、12の町村会(城間俊安会長)の代表ら21人、またペルー、ボリビアの沖縄県人会から安里ヴィットル会長、宮城和男会長も出席するなど県系の絆の強さを見せ、85周年の節目を共に祝った。式典後は、沖縄芸能のアトラクションが披露され、最後には出席者らが舞台と客席で一体となって踊るなど、にぎやかに盛り上がった。

 沖縄県人会は44支部を有し、他を圧倒する規模を誇るが、笠戸丸移民781人のうち4割に当たる325人が沖縄出身だったこと、日系人口150万人のうち1割が沖縄県系であることから、コロニアでも極めて存在感を放つ団体といえる。
 副知事一行はペルー、ボリビア、亜国を経て来伯。ペルーは県人会100周年式典、亜国は60周年の記念式典に出席し、10月に行われる「第5回世界のウチナーンチュ大会」の参加呼びかけも兼ねて来伯した。
 祝典には来賓として、在聖日本国総領事館の大部一秋総領事夫妻、園田昭憲県連会長、木多喜八郎文協会長、菊地義治援協会長、安部順二、大田慶子両連邦下議、羽藤ジョージサンパウロ州議、西本エリオサンパウロ州議代理、神谷牛太郎、野村アウレリオ両サンパウロ市議らが出席した。
 島袋安雄祝典実行副委員長による開会宣言のあと、日伯両国家斉唱、先亡者ならびに東日本大震災物故者への黙祷がささげられた。
 挨拶に立った与那嶺会長は、1926年に創立された「球陽協会」から始まる県人会の歴史を振り返り、戦後沖縄移民が1万人強入植し、現在の44支部をもつ県人会に発展したこと、08年に県人会と沖縄文化センターが合併したことなどに触れた。あわせて、この日の午前中に文化センター内の「沖縄移民資料館」の除幕を行ったことも報告した。
 さらに、長期にわたってブラジルから留学生、研修生が沖縄を訪れているとして、「市町村の皆さんにお世話になっている」と謝辞をのべた。
 上原副知事はマイクの前に立ち、「ハイサイ!(こんにちは!)」と挨拶して会場を沸かせ、仲井眞弘多知事の祝辞を代読した。
 続いて、南風原町長の城間町村会会長が挨拶に立った。舞台の前に「沖縄県町村関係団体」と書かれた横断幕を手に、一列に並んだ各町村会の代表らを前に、県人会が頑張っておられることを誇りに思い、感謝している」とのべ、切実な表情で「地球の反対側でウチナーの魂を継承していってもらいたい」との願いを語った。
 また、「ウチナーンチュ大会では県人同士の絆を深め、沖縄の心を世界中に発信しましょう」と呼びかけた。
 大部総領事、安部下議が挨拶した後、出席した日系議員から県人会へ記念品が贈られた。
 続いて園田会長が、「沖縄県人会の力は大きい。心の強さや団結力を羨ましく思う」と祝辞を述べた後、挨拶に立ったうりずん会(沖縄県留学研修生OB会)会長の松堂忠永マルセロさんは「沖縄で学んだ日本語で挨拶します」と前置きし、自身も06年に両親の故郷、嘉手納町を訪れたことに触れ、「うりずん会がこれからの県人会活動に参加できることを誇りに思う」と力を込めて語った。
 県人会から、歴代会長8人、文化センター歴代理事長5人、県人会功労者14人、功労団体14団体、各支部44支部、県からは海外移住功労者9人、100歳以上の特別高齢者4人、90歳以上の高齢者43人が表彰された。
 それぞれ代表者が感謝状と記念品を受け取った中で、上地マツさんは108歳で、国頭村出身。サンパウロ市カーザ・ベルデ区在住で、祝典には車いすに乗り、家族に連れられて出席した。
 上原副知事が会場の中央辺りのテーブルまで移動し、感謝状を読み上げて手渡すと、マツさんは嬉しそうな表情を浮かべ、ゆっくりとした動作で受け取った。90歳以上の高齢者は嘉陽ミサエさん(90、名護市)が代表して受け取った。
 前県人会長の与儀昭雄氏が謝辞を述べた後、舞台で鏡割りが行われた。山城勇評議員会長が音頭を取り、「ビバ!ウチナー、ビバ!ブラジル」の掛け声で、一同は乾杯した。