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直接投資が今年3倍に=ユーロ圏危機からブラジルへ=多様な分野に増額傾向

ニッケイ新聞 2011年9月14日付け

 ユーロ圏の経済危機を受け、今年に入ってから特に欧州企業がブラジルへの投資を増加させていると13日付けエスタード紙などが報じている。今年初頭から7月までの欧州からの直接投資額は234億ドルを記録し、昨年同期の79億ドルに比べ、3倍にも達している。
 世界銀行による投資環境ランキングで、ブラジルは127位、他のBRICs諸国の中国が79位、ロシア123位、インドが134位という中で、戦争や紛争がなく、比較的政治的な安定が見られる点が好感を呼んでいると分析されている。
 他の発展途上国の経済成長が上げどまる中、サッカーW杯や五輪に向けてブラジルではまだ数年は好景気が見込まれており、多くの欧州企業がブラジル政府の経済促進計画(PAC)に食い込み、同様に「我が家、我が人生」(Minha Casa Minha Vida)計画による不動産価格上昇の恩恵を被ろうとしている。
 欧州からの投資は多岐にわたる分野に行われていることが今回の特徴のようだ。中銀に取材した同紙によれば、10億ドル以上の投資があったのは次の13分野(電気エネルギー、小売業、食品製造業、鉱業、鉄鋼業、保険、石油・ガス、非鉱物金属、製薬、情報機器、教育、インフラ)だ。
 旧大陸内ではフランスやイタリアのリーダーシップによる解決能力に疑問が生まれている一方、ブラジルには新しい機会が生じていると見られている。ただし、ブラジルの投資基準を修正しないと、急激な投資増加に応えきれないと専門家は見ている。
 ここ5年ほど国内総生産の2%に相当する国際収支赤字を持つブラジルにとって、生産設備への投資や工場建設資金として入ってくるドル、外国からの直接投資は重要性を増している。
 中銀では今年の国際収支赤字は600億ドル程度と見積もっているが、直接投資は550億ドルと推測しており、欧州からのそれは総額の3分の1に相当すると期待している。
 ただし、レアル高もあってブラジルの物価は高い。「本社の社長よりも高い給与を、ブラジルの支社長に払う準備はできているか?」。スペイン商工会議所のヌリア・ポンチ専務理事は、そんな問いかけをし、「スペイン企業は先頭争いからは脱落したが、それでも投資すると選択した」と締めくくった。
 主な投資増加国は次の通り。
▼オランダ(【2010年】24億8400万ドル→【2011年】127億0200万ドル)
▼スペイン(5億0600万ドル→53億6700万ドル)
▼オーストリア(2500万ドル→14億4300万ドル) 
▼ドイツ(2億0800万ドル→4億7700万ドル)
▼イタリア(1億6900万ドル→2億1900万ドル)