ニッケイ新聞 2011年10月15日付け
ブラジル水産省が9月末にブラジリアで開催した『第1回貯水池での養殖セミナー』にピラルクー養殖のパイオニア、鴻池龍朗さん(59、東京)が招かれ、ルイス・セルジオ大臣に今までの取り組みを紹介した。
いけすなどを製造するサンスイ社の顧問・平崎靖之さんの紹介で会見の機会が設けられた。
「緊張で頭が真っ白になった。写真を見せながら取り組みを説明すると、大臣はとても興味を持ったようだった」と嬉しそうに語る。
同省が貯水池の養殖利用を決定したことから、鴻池さんの取り組みが注目を浴びた。同セミナー内でセルジオ大臣は、「ブラジルに200ある各貯水池の1%を養殖に充てることで、環境に負担をかけずに中国も追い越す生産量が実現できる」と力説、その一つにピラルクーも挙げた。
生態が謎に包まれたまま、養殖はおろかワシントン条約では絶滅危惧種に指定され、輸出も禁じられてきた。
鴻池さんは生息地アマゾンと大きく条件も異なるなか、1999年からサンパウロ州農務局と共同で「わずか1年で12キロの大魚に育つ〃最高〃の養殖魚」の養殖に取り組んできた。
また、環境汚染を最小限に抑える「環境復興型養殖システム」の確立に早くから専心しており、同省の意向を先取りした取り組みをアピールできたようだ。
「ずっとピラルクーの普及が夢だった。これからは輸出も夢ではないかもしれない」と期待を膨らませている。