【那覇発=深沢正雪記者】「海外のみなさん、お帰りなさい!!」。5年に一度の沖縄県系人の集い『第5回世界のウチナーンチュ大会』が那覇市のセルラースタジアムで13日午後5時半から開催され、実行委員長である仲井眞弘多県知事ら主催者側のあいさつでは、次々にそのような温かいメッセージが送られた。ブラジルからの参加者1100人を含め過去最多となる海外勢25カ国約5200人、さらに母県の親戚友人らを合わせて総計約1万5千人が祝典に参加し、ステージ上には各国の国旗がずらりと掲げられた。直前までのにわか雨が止んでさわやかな空気の中、今年初めて会場として使われた同野球場は、血潮がたぎるような熱い雰囲気に包まれた。
開会宣言文を大会副会長の上原良幸知事が読み上げた後、仲井眞知事は開会のあいさつの中で「みなさんは沖縄の宝。我々の誇りです」と繰り返し、それに応えるように会場からは喝采が湧き上がった。
会場には県系子孫で駐日ボリビア大使の比嘉ルイス・マサハルさん、同じく県系の駐日ベネズエラ大使の石川セイコウさんも姿を見せ、ブラジルからも大田ヨランダ連邦下議、サンパウロ州オウリーニョス市の見里敏夫市長、エスタード紙論説委員の保久原ジョルジさん、下本八郎元サンパウロ州議らも出席した。
来賓を代表して米国ハワイ州知事のニール・アグロンビーさんは、「わが州には4万人もの県系人が住んでおり、うち1千人が栄えあるこの大会に参加したことを心から誇りに思う。何かと険しい世界情勢の中、各国から縁者がこんなに集まって国際友好を深めることは時節柄とても意義深い」と称賛した。
式典の後、沖縄を代表する歌手、古謝美佐子さんが〃故郷〃の魂がこもった民謡の数々を披露した。中でも「海外のみなさんの子孫がたくさん増えますように」と歌いはじめた大ヒット曲『童神』を熱唱した時には、会場は水を打ったように静まり返って聞き入った。
本紙の取材に与儀昭雄前沖縄県人会長は、「第3回までは一世中心だったが4回でだいぶ二、三世が増え、今回はむしろ一世の方が少なくなり、五世まで参加した」と世代交代を強調した。
3回目の取材に訪れたアルゼンチンのラプラタ報知の記者、崎原朝一さん(77、沖縄)は、「今回アルゼンチンからは200人以上、今までで一番多い。僕同様に一世はもう今回が最後かもしれないと思い、子や孫をたくさん連れてきている多いのではないか」と分析した。
エスタード紙の保久原さん(65、二世)は息子のタデウ・直紀さん(29)を連れて初参加した感想を、「我々はここに来て〃家に帰ってきた〃という感じがする」としみじみした表情で語り、直紀さんも「世界中どこにいてもウチナーはウチナーだと感動した」と興奮冷めやらない様子で語った。
前夜祭パレードでもブラジル勢1100人はおそろいの黄色のかりゆし姿で圧倒的な存在感を見せ、沿道の那覇市民は「お帰りなさい」と次々に握手を求めていた。これには日語がわからない二、三世も感激の渦となっていた。