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スポーツ相にも汚職の疑惑=昨年逮捕の軍警らが供述=14年W杯準備への影響は?=今週中にも議会で弁明か

ニッケイ新聞 2011年10月18日付け

 連邦直轄区(DF)市警が2010年に行った〃シャオリン作戦〃で逮捕された元軍警らが、2008年にスポーツ相のオルランド・シウヴァ氏に現金を手渡したと供述した事で、ジウマ大統領がスポーツ相をメキシコから呼び戻したと17日付ブラジル紙が報じた。

 アントニオ・パロッシ元官房長官が5月に辞表を提出して以来、閣僚辞任が続いたジウマ政権で、今度はスポーツ相の汚職が摘発され、14年のワールドカップ(W杯)準備などにも懸念が広がっている。
 国際サッカー連盟(FIFA)が20日に14年のワールドカップ(W杯)の日程を公表する直前に報道されたのは、オルランド・シウヴァ氏が08年にスポーツ省の駐車場で現金入り段ボール箱を受取ったというヴェージャ誌記事。
 スポーツ相を告発したのは、〃シャオリン作戦〃で逮捕された元軍警のジョアン・ジアス・フェレイラ容疑者とその部下のセリオ・ソアレス・ペレイラ容疑者で、手渡された金は、セグンド・テンポと呼ばれるスポーツ省の企画に参加していた4団体からの金をまとめたものだという。
 セグンド・テンポは、低所得世帯の子供達が就学時間帯以外の時間にスポーツに親しむための企画で、DFで同企画に参加した非政府団体(NGO)のブラジリア・カンフー・連盟(Febrak)などで行われた不正を摘発したのが〃シャオリン作戦〃だ。
 ジョアン・ジアス容疑者らが関与した汚職は、05〜07年にスポーツ省と契約を結んだFebrakとジョアン・ジアス・カンフー協会に絡むもの。Febrakは、1万人の子供を対象としたプログラム提供を約束しつつ、実質的な活動は何もしておらず、ジョアン・ジアス・カンフー協会も、活動の場を更に25カ所増やすとの約束で64万6千レアルを受取ったが、領収証は全て偽造されたもの。〃シャオリン作戦〃開始後に支払われる筈だった最後の支払いは停止された。
 Febrakとの契約は、当時スポーツ省局長だったシウヴァ氏が署名。ジョアン・ジアス・カンフー協会との契約はスポーツ相就任後に行われ、ジョアン・ジアス容疑者は、不正により得た金でマンションや高級車を購入、三つのアカデミアを新設している。
 セグンド・テンポは全国規模で行われ、サンパウロ州でも不正が行われていた事が判明しているが、現職大臣の不正関与が摘発された事で、ジウマ大統領の命を受けた官房長官らが汎米大会観戦のためメキシコに居たスポーツ相を呼び戻し、早期弁明などの対応を協議。野党側は同相の更迭と議会での調査を要請している。
 スポーツ相はW杯などで重要度が増した同相の働きを阻害する試みとしているが、不正判明で更迭騒ぎとなれば既に遅れているW杯準備が更に遅れる可能性も出てくる。