ニッケイ新聞 2011年10月20日付け
ブラジルの9月の雇用創出が、同月の実績としては過去5年で最低の結果に終わった。19日にエスタード紙が報じた。
全就労・失業者台帳(CAGED)の統計によると、今年9月のブラジル内での雇用創出の総計は20万9078件で、昨年の同月と比べ3万7千件の落ち込みを記録。9月としては17万6700件に終わった2006年以来の低い数字となった。
ルピ労働大臣はこの結果に対し、雇用創出の減少の主要原因として産業活動の後退をあげ、特に機械・鉄鋼・繊維工業における雇用が落ちたことを指摘。世界的不況のあおりを受けたことを認め、保護の必要性を改めて強調した。
だが、今後の雇用創出の数値に関しては楽観的な見方を示した。10月、11月に関しては9月とほぼ同じレベルであるとし、例年数値が大幅に下がる12月に関してもほぼ例年並と語った。これにより年間で230万件の雇用創出(公的サービス業を除く)が予想されるが、今年の初めに政府が目指した300万件からはかなりかけ離れた数字となる。
経済活動悪化のサインか?ゼネラル・モーターズ(GM)が希望退職者募る。
9月の雇用創出が公表された18日、ブラジル内の大手自動車メーカー、ゼネラル・モーターズが希望退職者を募ったと、19日にエスタード紙が報じた。9月に国内産業保護のために導入された輸入自動車への工業税(IPI)引き上げの直後の処置となる。
対象となるのはサンパウロ州サン・ジョゼ・ドス・カンポスの工場の管理部門と製造部門。同社はブラジル内に2万2千人の従業員を持つ。
GM南アメリカ社長のジャイミ・アルディラ氏は、今回の希望退職募集は売り上げの下落が理由ではなく、他の工場における新製品の製造に重点を置くためであると説明している。だが、サン・ジョゼ・ドス・カンポス鉄鋼業協会のビバウド・モレイラ・アラウージョ会長は、退職金の額が示されていないことや、残された雇用者の残業時間が増えることを理由に今回のGM社の決定に疑問を呈している。
なお、GM社に加え、フォルクス・ワーゲンやフィアットの工場においても、工場従業員に休暇を与えるなど、製造台数の制限をほのめかす動きが出始めている。