ニッケイ新聞 2011年10月20日付け
ブラジル日本都道府県人会連合会(園田昭憲会長)、ブラジル日本語センター(谷広海理事長)は16日、サンパウロ市リベルダーデ区の広島県人会館で『第5回弁論大会・第32回サンパウロスピーチコンテスト』を開催した。国際交流基金、グローバル旅行社、宮坂国人財団が後援。日系、非日系を含め弁論の部に6人、スピーチコンテストに16人が出場、会場には出場者の家族や友人ほか約150人が駆けつけ、思い思いの発表が力強い日本語で繰り広げられた。
県連と日語センターが合同で開催するのは、昨年に引き続き2回目。審査員は日本語教育関係者ら5人で、審査委員長は杉本俊和氏(長崎県人会副会長)が務めた。
弁論の部のテーマは「日本文化に関すること」。自らのアイデンティティに関する葛藤をテーマに、初出場ながら堂々と発表したピラール・ド・スール在住の鎧野ビニシウス獅珠雄さん(16、三世)が優勝、日本行きの往復航空券が贈られた。
5歳から日本語学校に通い、日本語能力試験1級を13歳で取得した。ブラジルの学校で変なあだ名を付けられたり、今年1月の訪日のさい「日本人じゃない」と言われた経験から、「自分が何者なのか問い続けてきた」と語り、「自分は両方の文化を知っている。百年前の移民が作った両国の繋がりを保ち、絆を強めるのが自分の役割。(自分は)誇り高きブラジル日系人なのです」と力強く締めくくった。
本紙の取材に対し「レベルの高い人が集まっていたので自信はなかった。自然に話せて良かった」と控えめな笑顔を見せ、「将来は農大に進み、野菜や切り花の栽培など農業に従事したい」と話した。
スピーチコンテストはテーマが自由で、能力試験N2程度以上のAクラスに7人、N4〜3程度のBクラスに9人が参加。それぞれ伊藤ルシアーナ理加さん(17)、植原ローレンス優悟さんが優勝した。
伊藤さんは「ヒーロー」というテーマで、東日本大震災で感じたことを終始真剣な表情で語りかけた。危険を顧みず職責を遂行し殉職した宮城県警の警察官、被災しながらもボランティア活動に励む陸前高田市の高校生に感動、「生きていることに感謝したい」と発表した。
審査員で日伯のびる学園の志村マルガレッチ園長に「おめでとう!」と声を掛けられ、喜びを噛み締めていた。
県連で弁論大会担当の山田康夫副会長は、「昨年よりも少ない参加者数だったものの、見に来る人は増えた。今年は一層レベルが高かったと思う」と満足気に話した。
結果は次の通り(敬称略)。
【弁論の部】1位=鎧野ビニシウス獅珠雄、2位=佐藤リンカーン豪、3位=滝浪アレックス仁。【スピーチコンテスト・A】1位=伊藤ルシアーナ理加、2位=広瀬カレン亜佐美、3位=上村クリスチーナ晴美。【スピーチコンテスト・B】1位=植原ローレンス優悟、2位=土橋フェルナンド諭、3位=ジョアキン・アモリン・コスタ・イザベラ。