ニッケイ新聞 2011年10月28日付け
【既報関連】15日付〃ヴェージャ誌〃の告発記事に端を発したスポーツ省汚職疑惑の中心人物で、ブラジル共産党(PCdoB)所属のオルランド・シウヴァ氏が26日にスポーツ相を辞任したと26日付伯字紙が報じた。後任は同党下議のアウド・レベロ氏で、31日就任の見込みだ。
15日付〃ヴェージャ誌〃の汚職告発記事掲載から12日間、次々に噴出す疑惑の嵐にもまれていたシウヴァ氏が26日夕刻、ジウマ大統領に辞表を提出し、正式に閣外に去った。
6月7日のアントニオ・パロッシ元官房長官に始まった現政権の閣僚辞任は既に6度目。同僚批判のネルソン・ジョビン元国防相以外は汚職絡みの辞表提出で、清掃などを意味する〃ファッシーナ〃の言葉が広まったのも今政権の特徴だ。
今回辞任したオルランド・シウヴァ氏の場合、スポーツ省管轄の教育プログラムである〃セグンド・テンポ〃参加の非政府団体(NGO)が、同省から受領した金の一部を袖の下として支払っており、シウヴァ氏も金を受取った一人と告発された事が疑惑噴出の発端となった。
シウヴァ氏自身は、26日のジウマ大統領との会談でも、自分は潔白だと言い続けていたというが、27日付エスタード紙には、NGOへの支払い小切手とNGOが発行した領収書は同一人物が記入したとの鑑定結果が掲載されるなど、同省絡みの汚職摘発の記事は引きもきらない。
また、疑惑噴出のきっかけを作った軍警のジョアン・ジアス・フェレイラ氏が、シウヴァ氏も汚職に関与していた事を示す証拠を連邦警察に提出し、検察庁の要請を受けた最高裁も捜査開始を認めた事などがシウヴァ氏を追い詰め、最後まで潔白を主張しつつの辞任を余儀なくさせた。
シウヴァ氏は党首脳らと共に26日朝、大統領府総務長官と会談。大統領も同氏温存は不可能と見ている事などを聞き、夕刻の大統領との会談の場で辞表を提出した。
27日付官報には副にあたるヴァウデマル・ソウザ氏が大臣職代行と発表されたが、早急に後任を決める事を求めていた共産党は、26日夜、サンパウロ州選出のアウド・レベロ下議を指名。
ジウマ大統領も27日朝、レナト・ラベロ党首との会談後にレベロ下議とも会い、同氏を後任とする事を了承した。
下議6期目のレベロ氏は、前政権で政治調整担当長官を務めた経験もあり、入閣は2度目。著作活動も行うジャーナリストで、下院への環境保護法改定案上程の際は政府側要請にも膝を屈せずなど、数々の逸話もある同氏には、省内の体質改善や2014年W杯を巡る国際サッカー連盟(FIFA)との交渉、2016年のリオ五輪開催も含む大型イベントの準備遂行など、多くの責任が課せられる事になる。