ニッケイ新聞 2011年10月29日付け
サンパウロ州議会倫理委員会が27日に、「改正法案の販売(ヴェンダ・デ・エメンダ)」に関する調査を打ち切り、今後の調査は州検察局に一任する事を決めたと28日付伯字紙が報じた。議会審議委員会(CPI)新設も叶わない中、94人の議員の20〜30%が法案販売で利益を得ているとの告発は、大山鳴動して鼠一匹となる可能性も強くなってきたようだ。
ブラジル労働党(PTB)ロッケ・バルビエレ議員が、アラサツーバ市発行の地方紙に、改正法案を通して見返りを受取る形(販売)で私腹を肥やす議員ありと話したのは8月1日。今月4日にはやり方は各自各様ともいわれた法案販売は、実態が未解明のまま、検察の捜査に委ねられる。
最初に疑惑を告発したバルビエレ議員は、汚職に関与しているはずの議員名は検察にしか語らないとし、具体的な証言を求める倫理委員会の要請にも、文書による回答を寄せたのみ。
同議員からの告発に関しては、9月26日付エスタード紙などが繰り返し報じてきたが、州議達が提出したエメンダと呼ばれる改正法案の詳細を明かすとの州政府の約束も、2011年のもの以外は未だに果たされていないようだ。
今月4日に議会に復帰したバルビエレ議員は、地元選挙地とかけ離れ、支持者さえいない自治体への支援は、不正な法案販売を見分ける目安と指摘。25日本会議では、緑の党のジウモ・ドス・サントス議員提出のエメンダを疑惑例の一つとして上げた。
問題のエメンダはロウルデス市に多目的倉庫七つを建設するというもので、同物件が建設された経緯や利用目的を訊かれた現地市長や市議会議長は、何も答えられなかったという。
サントス議員は身の潔白を主張しており、バルビエレ議員から謝罪の電話が入ったとの情報も流れているが、改正法案を巡る疑惑に関して倫理委員会が入手した情報は、ブルーノ・コーバス州環境局長が寄せた文書と、マジョール・オリンピオ議員が不正が行われていた事を証言できるとして指摘した女性の名前のみで、証人として名前が上げられた女性も検察当局にしか実名を明かさないと言っている。
調査の進展は望めないとみた倫理委員会は27日、今後の調査は州検察局に一任する事と15日後に最終報告書を承認する事を決めた。これにより、同委員会の調査は実質打ち切りとなる。
野党労働者党(PT)はCPI設置のための署名を集めていたが、27日の時点で30人分しか集まっておらず、32人分集まった場合でも、CPI設置数が上限の五つに達している現状での新設は叶わない状態。倫理委員会による実質的な調査打ち切り決定後の州議会前では、真相解明を求めるPTや中央労組(CUT)関係者による抗議行動が行われた。