ニッケイ新聞 2011年11月2日付け
カサビサンパウロ市市長の教育政策による学校や保育園建設費用が予定より28%も上昇していたことが明らかとなり、談合の疑いがあると、1日付のフォーリャ紙が報じた。
教育改革はカサビ市長の選挙公約で、特に保育園の増設は最優先事項とされていた。市長の政策では、96の学校と59の保育所が建設される予定だったが、任期終了まであと1年余というこの期に及んでも計画が遅々として進まず、作ってもプレハブ小屋のような杜撰な作りのものも目立つなど、公約がうまく遂行されていないことが指摘されている。
サンパウロ市では2010年9月、前記の数の学校と保育所を14組に分けて建設した場合に必要な予算を587万5千レルと見積もった。だが今年9月の入札の結果、落札価格の総計は750万6千レアルと、当初の予算額から28%もはねあがる結果となった。
これに関し、入札問題の専門家のパウロ・ボセリ氏はフォーリャ紙の取材に「通常の入札では企業同士の競争原理が働き、落札価格が組んだ予算よりも下がることが多いのに、この上昇は異例だ。こういうことは、裏で値上げの競争を誘引する何かが起こらない限りは起こらない」と言及している。
今回の入札では企業が激しく争った跡はなく、14に分けた工事請負区域毎の入札額の差は最高でも4・3%。企業の中には、六つの区域の入札に応じたが、各組の入札額の差が1・7%しかないところさえあった。
市当局は、2010年10月に組まれた学校建設のための予算は、2009年の時点での指標を参考にしたものであると説明し、その間に起こった建設業界での物価高騰が予算額の大幅上昇の理由であることをほのめかしている。
だが、この2年間の全国建設コスト指数(INCC)上昇は15・6%で、予算が組まれた昨年の9月から入札が行われた今年9月までの上昇率で見ても7・6%の伸びに止まっており、28%もの経費上昇は建設資材の高騰によるものとの説明には無理がある。
これらのことからボセリ氏は、「各企業やコンソーシアムが入札額を決めた際、水面下で既に他社と示し合わせていたのではないか」と推測している。