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【特集 JICA日系研修】多様な分野で78コース=締め切り24日に迫る=岩野さん「有意義だった」

ニッケイ新聞 2011年11月9日付け

 JICA(国際協力機構)が、日本における研修を通して最新技術や知識を習得し、当地で貢献できる人材を育てることを目的に実施する『平成24(2012)年度日系研修員』の応募者を募集している(申込み締め切り24日)。昨年4月から今年2月までの長期研修に参加した岩野タイス・すみえさん(30、三世)に研修の様子や魅力などを聞いた。

 岩野さんが選んだ研修コースは「看護の臨床体験型研修」。研修先となった北海道札幌市、医療法人徳州会・札幌東徳州会病院で、日本における看護の状況や技術、患者やスタッフとのコミュニケーションスキルを習得した。
 現在はサンパウロ市のノーヴォ・アチバイヤ病院の救急外来に勤務する。同部署で看護士の資格を有するのは岩野さんのみ、6人の補佐の指導に当たる。
 埼玉県の携帯電話製造工場で6年間働き大学進学の資金を集め、帰国後イタペーヴァ農業社会科学大学(FAIT)看護学科に入学した。大学在学中にJICAの研修を知り、「日本語で看護士の専門用語や患者への話し方・説明の仕方を勉強できる。新しい経験を積んで経歴にもプラスになる」と09年の卒業後、研修を受けることに決めた。
 病院での勤務時間は朝7時から午後5〜6時半まで。同僚の看護士や患者にも協力してもらいながら、技術や専門用語を身に着けた。
 研修で一番印象に残ったことは、「患者と看護士、看護士同士もお互いに礼儀正しく、敬意を持って接し合っていたこと」だという。
 研修生だった岩野さんにも、看護士らは「お願いします」と何度も頭を下げ、「ありがとうございました」「助かりました」と感謝の言葉を掛けた。「こうした言葉かけや敬意ある態度で、『もっと手伝いたい』という気持ちややる気が湧いて頑張れた」と語る。
 また病室に入る時のドアのたたき方や挨拶の仕方など、些細な言動の一つ一つに相手を思いやった丁寧さがこめられおり、看護に携わる自身の何気ない言動が変わっていった。
 現在勤める緊急外来でも、日本で学んだ敬意を込めた「お願いします」「ありがとうございます」は欠かさない。続ける内に、補佐の働きぶりも変わったと言う。
 また研修中は、1週間に2回病院内で実施された勉強会にも熱心に通い、「日本語の勉強にもなる」と、同僚の看護士たちと病院外のセミナーにも頻繁に参加した。
 「ただ、何事も自分から働きかけないと、向こうからチャンスはやってこない。やってみたいことがあれば、自分から人に尋ね、頼むことが大切」と研修を豊かにするための秘訣を語った。
 最後に「研修は本当に有意義だった。患者も看護士も温かく迎えてくれ研修に協力してくれた。また機会があれば、ぜひ行ってみたい」と活き活きとした笑顔を見せた。
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 JICAサンパウロ支所の日系研修班長、寺尾マルガリーダさんは、「日本でレベルの高い技術を見て、毎年研修生たちは意欲を高めて帰ってきます。研修後も、培った人脈を元に受け入れ機関との間で交流を深めることも出来、ブラジルでは手に入らない良い機会に溢れています」と研修への応募を呼びかけた。
 問い合わせは寺尾さん(11・3251・2656)まで。サイト(www.jica.go.jp/brazil/portuguese/office)では詳しいプログラムを閲覧できる。