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厚労省=厳しい日系人の安定雇用=外国人雇用対策課=山本課長が現況を説明=人気高い「就労準備研修」=日語教育ふくむ職業訓練を

ニッケイ新聞 2011年11月9日付け

 厚生労働省職業安定局・外国人雇用対策課の山本麻里課長がCIATE(国外就労者情報援護センター)主催のコラボラドーレス会議に参加するため来伯、4日午後に記者会見し、在日日系人の雇用状況や日本政府の対策について概略を説明した。

 説明によれば、外国人登録者数は07年12月末の31万6千900人をピークに、08年のリーマンショックや今年3月の東日本大震災の影響から、現在は22万1千人にまで減少している。
 経済危機により、多くの日系人労働者が失業、地域のハローワークを訪れた。
 「新規求職者数は09年1〜3月のピーク時、前年同期と比べて約13倍の1万4760人に上ったが、現在はリーマンショック以前の水準に戻っている」という。
 東日本大震災後の今年3〜5月にかけては、東北地方の生産拠点に影響が出たため、自動車メーカーへの部品供給が止まったことで求職者が一時的に増えたものの、6月以降は沈静化。
 円高が長期化しているため企業の生産拠点が海外へ移転する傾向を受け「残業規制や中途・新卒採用の抑制など、雇用に影響が現れることが懸念されるため、年明け以降の状況は分からない」との懸念を示した。
 ハローワークへの相談件数は集住地域で現在も3、4倍に高止まりしていることから「何度通っても職を得られない人が一定数いる」と説明。
 その対策として通訳を配置したハローワークの数を、リーマンショック以前の約70カ所を09年度から120ヵ所以上、通訳の稼働時間を週に約700時間から4千時間以上に増やしたほか、外国人専門相談員を今年度は129人配置していることを報告した。
 「企業が求める日本語能力のレベルが高くなった」として、定住化傾向にある日系人に対する『就労準備研修』を、財団法人日本国際協力センター(JICE)が担当し、09年から実施している。
 研修は日本語コミュニケーション能力を始め、労働条件、雇用慣行、労働・社会保険制度等の理解、その他履歴書の書き方や職場体験、見学などを含み、期間は3カ月程度。
 約5千人の受講者を想定して予算が組まれたものの、09年度は全国60地域、10年度は97地域で実施。「受講者はいずれも6千人を超える人気だった」
 3年目の今年は若干規模を縮小したものの、現時点で3千人程度が受講しており、「今後はよりニーズの高い地域に重点化して実施する方向」と話す。
 また、日系人が希望する職種について「浜松の場合は技能工、生産工、事務だが、これらの職種は倍率が高い。一方で介護・福祉の仕事には応募が少ないなどのミスマッチが起こっている」と指摘。
 「今後、日系人の安定雇用を考えると、高齢社会で必ず需要が増える介護・福祉の職業訓練を日本語教育とあわせて行うことも考えている」と締めくくった。