ニッケイ新聞 2011年11月10日付け
国際サッカー連盟(FIFA)が、2014年のワールドカップの入場券に関して、ブラジル側の主張する高齢者と学生への半額チケット案の代替案として、2010年の南アフリカ大会で採用した「コッタ・ソシアル」という方式の導入を望んでいると、9日付エスタード紙が報じた。
この代替案は、8日に下院で行われた2014年のワールドカップの特別設置法案に関する審問の席で、FIFAのジェローム・ヴァルク事務局長によって提案された。同案は、販売チケットの10%を安価に設定するというもので、その価格はグループ予選時が25ドル(43・5レアル)。決勝トーナメントでは25レアル以上に引き上げられ、販売数も減らされる予定である。
このチケットの価格をめぐっては、高齢者の保護が法律で義務付けられていることを根拠に半額制を譲れないブラジルと、それを導入することで多額の損失を計上すると主張するFIFAとの間でかねてから意見が対立し、ジウマ大統領がヴァルク氏に直々に半額制導入を直訴したが、それでも、FIFAは難色を示し続けていた。
今回のヴァルク氏の提案に対し、レベロ・スポーツ大臣は「先住民や生活扶助(ボルサ・ファミリア)を受けている人もチケットを買えるような設定にしてほしい」と改めて訴えている。
また、今回の審問では、海賊版グッズの販売防止、会場での酒類の販売、会場都市の交通整備の問題も討議された。特にサンパウロ市の交通は問題とされ、ヴァルク氏はそれを「悪夢のようだ」と酷評した。
また、この審問では、1994年のワールドカップの主力選手だったロマーリオ議員が、ヴァレク氏と、同席したブラジル・サッカー連盟のテイシェイラ会長に、それぞれ2人が関与した汚職疑惑について質問をする場面も見られた。
ワールドカップのチケットは、11月3日に一部の特等席の発売が開始されている。販売された中で最高値をつけたのは、16〜26人の飲食及び特別駐車場サービスがついたボックス席で、実に400万レアルするという。