ニッケイ新聞 2011年11月10日付け
ブラジル兵庫県人会(尾西貞夫会長)は、恒例のピクニックを9月25日に実施し、サンパウロ州アンパーロ市の自然農法を実践するドゥアス・カショエイラス環境教育センターを訪れた。尾西会長はじめ役員や留学生・研修生OB、会員ら48人が参加し、爽やかな自然の中で親睦を深めた。
バスは山あいに続く赤土の道を進むと門が見え、センター長のガラシ・ジニズさん(48)が出迎えた。一行は澄んだ空気の山を散策しながら、環境に負担をかけない持続可能な農業の説明を受け、「この植物は何ですか」と熱心に聞く参加者の姿が見られた。
今では自然の果物が溢れているこの土地も、85年頃まではガラシさんの祖父の代から続けたコーヒー単作で土壌は荒れていた。参加者は当時の写真と風景を見比べ、驚きの声を上げた。
「ここを流れる川はきれいな海岸に注ぐ。多量の農薬を使えば、広範囲の自然や人に影響を与えるんです」とのガラシさんの言葉に一行は頷いた。「目を閉じて耳を澄ませてみて」と促されると、皆で目をつむり、風の音や葉のすれる音、鳥のさえずりなど、自然の音に耳を傾けた。
山崎輝之さん(62、二世)は、「大農業より手間はかかるでしょうが、自然の力を借りることでこういった風景も残るんですね」と清々しい表情をうかべた。
昼食は薪で炊いたご飯と同地で取れた新鮮な無農薬野菜のおかず。山を散策してお腹をすかせた参加者は列を作り、食事をしながら久々の再会に話を弾ませていた。
羊毛織物の見学や牧羊施設での動物との触れ合いなど都市では不可能な体験もでき、充実した一日となった。「今日はたくさん笑って気分転換しました。来年どこへ行くか今から楽しみです」と谷口勉さん(71、二世)は感想を語った。
バスが市内に到着し、尾西会長が「今年もありがとうございました。次は新年会でお会いしましょう」と挨拶すると拍手が起こり、参加者は帰路についた。