リオ最大級の賞金首逮捕=麻薬密売者首領のネン=ロッシーニャ制圧前夜に=19番目のUPP設置へ
ニッケイ新聞 2011年11月11日付け
リオ市南部にあるファヴェーラ、ロッシーニャを支配していた麻薬密売組織アミーゴ・ドス・アミーゴス(ADA)の首領、アントニオ・ボンフィン・ロペスことネンが10日未明に逮捕されたと10日付ブラジルメディアが一斉に報じた。
同市内最大級のファヴェーラ、ロッシーニャは、アレモン地区などの制圧後も麻薬密売者が支配している地域で、首領のネン逮捕は、治安回復と維持に向け、大きな布石となる出来事だ。
海軍の戦車も繰出し、市街戦ともいわれたアレモン地区制圧からほぼ1年。リオ州保安局は13日、海軍の再支援を仰いで、ロッシーニャ制圧作戦を行う予定だった。
同制圧作戦はロッシーニャ、ヴィジガウの両ファヴェーラを念頭に置いたもので、3日には地区に繋がる幹線道路に道路警察の検問を配備。
これと並行して、同地区の密売者達が隠れているとの情報があったマカエ市での摘発も行われ、密売者3人が死亡するなど、周辺部から固める作戦は、アレモン地区などを治めていたコマンド・ヴェルメーリョ(CV)弱体化後の最大勢力、ADAの主要メンバーのあぶり出しに繋がった。
広さ86万5千平方メートル、人口約7万人のロッシーニャは、カンタレーラの自然林に隣接し、正面から攻めれば容易に逃亡できるが、平和駐留部隊(UPP)設置に向けた制圧作戦は、市外からの密売者侵入を阻みかつ域内の密売者逃亡を塞ぐ形で展開され、逃げ道はセントロに繋がるガーヴェア方面のみだ。
一方、週末に軍や戦車も動員した制圧作戦実行と聞いた地域代表は、流血の事態回避のため首領のネンを探し、抵抗しないとの確約を取った。
こんな時届いたのが、密売組織リーダー達が逃亡を計画中との情報で、検問を強化した軍警は9日夜、ネンの右腕で2月に制圧されたサンカルロスの丘の首領でもあったアンデルソン・ローザ・メンドンサことコエーリョら5人の密売者と、逃亡を助けようとしていた市警4人、元軍警1人を逮捕。武器や弾薬、現金なども押収した。
リオ市最大級の賞金首でもあるネンの逮捕はそれから約数時間。夜中の12時を回った頃、同地区傍の検問で停められたのはコンゴ領事館所有の黒いカローラで、乗っていた男達は外交官である事を理由に捜査を拒否、2万〜100万レアルの袖の下の提供も申し出たが、軍警から連絡を受けた連邦警官がトランクの中にいたネンを発見、無抵抗のまま逮捕した。
リオ州保安局が採用したファヴェーラ制圧後にUPP設置という方式は少しずつ効果を表し、制圧後の地区住民の生活は大きく変化しており、19番目のUPP設置のためのロッシーニャ制圧作戦はネン逮捕後も継続。首領逮捕で意気が上がる軍警は、特殊部隊を13日まで駐留させ、残党一掃に全力を注ぐ構えだ。