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密売者ネンが衝撃の証言=「儲けの半分は警官に」=組織メンバーの追跡続く=求められる住民との調和

ニッケイ新聞 2011年11月12日付け

 【既報関連】10日に逮捕された、リオの麻薬密売者アントニオ・ボンフィン・ロペス容疑者(通称ネン)が、収益の半分は警官に渡していたとの衝撃の証言をしたとグローボ紙サイトが報じた。ジョゼ・マリアノ・ベルトラメ州保安局長が、汚職の実態を語ってくれればと願っていた事が一部実現したようだ。

 〃ロッシーニャの王〃の異名も持つネンは、同ファヴェーラを支配していたエリスマル・モレイラことベン・チ・ヴィが死亡した05年から、同地区首領として実権を握り、国内有数の密売者のボスとみなされていた。
 そのネンが、麻薬売買で上がる収益の半分は市警や軍警ら多数の公務員の手に渡り、自分の取り分が残らない時もあったと証言した。
 国外から持ち込まれた麻薬の精製から販売までを手広く行うロッシーニャは、麻薬密売組織アミーゴス・ドス・アミーゴス(ADA)の本拠地で、ネンの年収は1億レアル以上とされていた。
 そのネンが、麻薬売買の収益の半分は警官への賄賂として使われ、自分の手元には金がない時もあったというのだから、警官への賄賂額がいかに大きいか想像がつく。
 多額の賄賂を用意する必要にも駆られていた事は、9日に逮捕され、ネンの片腕とされていたアンデルソン・ローザ・メンドンサことコエーリョとサンドロ・ルイス・デ・パウラ・アモリンことペイシの両者が、賄賂を意味する〃アレーゴ〃と書かれたシール付の携帯電話を10台持っていた事からも窺われる。
 警察と麻薬組織の癒着は以前からいわれ、作戦が事前に漏れたと思われる摘発が起き、通話内容などから起きたリオ州市警トップ交替劇や、ロッシーニャの密売者の逃亡を助けようとして逮捕された警官が複数居た事も、癒着の証拠だ。
 本拠地退去に先立ち、ADAのメンバーが張った別れの宴で、酒と麻薬を混ぜて飲んだと見られるネンが7日朝保健所に現れて治療を受けた時、小銃などを持って護衛役を務めた男達が警官であった可能性もある。
 ドイツ出張中の保安局長は、メディア取材に、ネンが汚職の実態を語ってくれればと答えていたが、10、11日もADA関係者を追跡中の軍警らは、ロッシーニャの出入りを厳しくチェックすると共に、ADAの別の根城ヴィラ・ヴェンテンのファヴェーラで、ネンの護衛責任者と思しき人物ら10人を逮捕。その他の地区でもADA関係者の捜索を行っている。
 リオ州のカブラル知事はロッシーニャ制圧は13日までに完了と発言しているが、住民達は、軍警の平和駐留部隊(UPP)派遣まで軍が駐留したアレモン地区で、無用な権力行使や暴行事件も起きた事を懸念。密売者制圧とUPP設置に期待する声と共に聞こえる懸念の声を打ち消し、住民との調和の中でのUPP導入が待たれている。