ニッケイ新聞 2011年11月12日付け
労働省が関与した収賄疑惑の渦中にあるカルロス・ルピ労働大臣が、10日の下院で行われた審問の席で「ジウマ大統領、愛してます」と発言したと、11日付伯字紙が報じている。
Veja誌で報道された労働省の収賄疑惑に関する審問は10日に下院で行われ、ルピ氏は、非政府団体(NGO)と交した500もの契約の中でいくつか不可解な点があることは認めたが、自身の所属する民主労働党への便宜を図るために賄賂を受け取ったのではという疑惑は否定した。
だが、空席の目立つ審問での焦点は、疑惑の究明よりむしろ「ルピ氏VSマスコミ」にあった。ルピ氏は証言に立つに際し「まるで宗教裁判にかけられているようだ」と自らの置かれた状況を皮肉り、「今のマスコミは、汚職で辞任する6人目の大臣が誰かで賭けでもしているようだ」と挑発。さらに「だが、それは私ではない。マスコミでも間違うことがあることを証明してみせる」と語った。
また、社会民主党のヴァズ・デ・リマ議員が「労働省の問題にあなたが無責任なら、あなたを選んだ大統領にも責任がある」と発言すると、同党のドゥアルテ・ノグエイラ下院リーダーに「あなた方は憎悪で行動している」と声を荒げ、同氏から「私は平静を保っているが、あなたの内側に憎悪を感じる」と切り返される一幕もあった。
だが、ルピ氏は冷静さを取り戻すと、ジウマ大統領に「大統領、すみません。もし、私が攻撃的に映ったのなら、それは本意ではありません」と謝罪し、更に「Eu Te AMO(愛してます)」とまで続けた。
ルピ氏は審問に先立つ8日の記者会見で「ジウマ大統領が私に辞任などさせるはずがない。もし自分に非があるなら自分から辞める」と発言。それに対してジウマ大統領は翌9日、「私の職務に対する挑発的な物言いだ」としてルピ氏に警告。同日中にルピ氏は謝罪していたが、10日に再度の謝罪をすることとなった。
一方、労働省は8日、汚職疑惑について真相究明を迫ったフォーリャ紙のEメールなどの一般公表を行った。これに対し報道関係者からは「言論の自由を妨げるものだ」と批判が起こっている。