ニッケイ新聞 2011年11月15日付け
この10年の不動産のブームにより、サントスやプライア・グランデ、グアルジャーといったサンパウロ州海岸地帯での物件が急増、それに伴い交通渋滞の問題が深刻化していると、14日付エスタード紙が報じている。
同紙によると、これら3市では高層建築が急増し、今年だけで駐車スペースが7300増加すると見られている。さらに、10年前と比べたこの地域の自動車の通行台数は94%増と、ほぼ2倍に膨れ上がっているという。これは不動産件数の増加を意味するものだが、そのペースに交通のインフラがついていけていないのが現状だ。
岩塩層下の石油開発で活況を呈しているサントスは近年住宅エリアとしても人気で、30階以上の超高層ビルまで建てられ、今年1年だけで3403もの駐車スペースが創出された。
また、プライア・グランデにおいては、10年前と比べ自動車の通行台数は実に230%増、グアルジャーも144・4%と州平均以上の伸び率を記録している。
だが、その車の増加に交通整備がついていけていないため、様々な渋滞トラブルが起きている。
サントスの場合、観光客はアンシエッタ街道から市内に入るのが第一の難関で、トラックが増える収穫期はさらに悪化。コンセーリョ・ネビアス大通りは、海水浴者が増える夕方は平日でもわずか3キロの道を通るのに30分かかるという。
また、プライア・グランデは、市外と市内各所をつなぐ幹線道路がひとつしかなく、以前は20〜30分だった同市〜サントス中心部までは現在は1時間20分かかり、近道を見つけることさえままならない状態だという。
しかし、こうした状況にもかかわらず、これらの地域では、他の交通手段がないゆえに車を持たざるを得ないと言うのが現状で、サントスでの車の保有率は1・7人につき1台の割合だという。そのため、市や州がもっと積極的にバスの利用を呼びかけたり、自転車道を整備する必要性を説く声も大きい。
また、サン・ヴィンセンテ〜サントス間15キロの区間は2014年をめどに電車(軽量車輌)を導入、サントス〜グアルジャー間は2016年までにトンネル開通の見込みで、こうした渋滞の問題解決の糸口となることが期待されている。