ニッケイ新聞 2011年11月17日付け
実態のない非政府団体(NGO)との業務契約や不正な金の授受が表面化した労働省の汚職疑惑は、カルロス・ルピ労働相の発言の矛盾指摘などで混迷度を深め、ジウマ大統領が同氏に再度の説明を要求。大臣自身は関与せずと見られていた同省汚職だが、16日付伯字紙によると同氏の失脚は時間の問題のようだ。
ルピ労働相の「大統領、愛してます」発言が話題となった10日下院での釈明後、ルピ氏や労働省の発言を覆すような証言や新たな疑惑が次々に現れ、労働相の首が来年1月に予定されている内閣再編まで繋がっている可能性はどんどん少なくなってきている。
矛盾が指摘された労働相の発言は、2009年12月のマラニョン州での行事出席の際、NGO〃プロ・セラード〃が手配した小型機を利用して旅行したとのヴェージャ誌記事に関するもので、ルピ氏は同NGO代表は「あずかり知らぬ」と回答。労働省も、ルピ氏が使った小型機は、同州の民主労働党(PDT)が手配したセネカ型で、ヴェージャ誌が指摘した〃キング・エア〃ではないと説明していた。
ところが、ルピ氏が知らないと言ったはずの〃プロ・セラード〃のアダイル・メイラ代表が、その時の旅には労働相と同省元幹部のエゼキエル・ナシメント氏、故ジャクソン・ラゴ元マラニョン州知事、ルピ氏の元部下のウエヴェルトン・ロッシャ下議も同伴していたと証言。ルピ氏は自分を良く知っているともいう同氏発言を裏付ける、キング・エア機から降り立つルピ氏や同氏後方にメイラ氏が写る写真やビデオは、14日にマラニョン州のメディア、15日にはヴェージャ誌がサイトに流した。
メイラ氏が代表を務める〃プロ・セラード〃は、ゴイアス、ペルナンブコ、パラナ州での職業訓練プログラムにより、08年以降、1398万レアルを受領。ゴイアスでの同種プログラムへの報酬は13%が同NGOに支払われるなど、労働省との癒着が疑問視されている団体の一つだ。
また、15日付フォーリャ紙は、09年4〜8月に認定証が発行されたアマパー州の七つの労働組合は幽霊団体で、認定証にはルピ労働相自らの署名があるとの記事を掲載。これら7労組は、年間予算1千万レアル以上とされる同州工業連盟やSesi、Senaiといった職業訓練機関を意のままに操るための道具として登録された可能性があるという。
NGOとの契約で不正が行われているとの告発はスポーツ省と類似し、汚職で恩恵を受けたとされるNGOが手配した小型機使用は農務相更迭の経緯と軌を一にする。
大統領は一両日中に納得のいく説明をするよう求めているが、大統領の側近からは、ルピ氏更迭は時間の問題で、大統領は既にPDT首脳と後任問題を検討中との声も聞こえてきている。