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リオで注目の人ベルトラメ=治安の鍵握る保安局長=イベント前に平定なるか=連警はW杯時のテロ懸念

ニッケイ新聞 2011年11月18日付け

 【既報関連】13日に行われたロッシーニャなどのファヴェーラ制圧作戦後、リオ州のジョゼ・マリアノ・ベルトラメ保安局長の言動が注目を集めている。作戦後は連日ファヴェーラに出向いて視察などを行う局長に、住民達が賛辞や期待を寄せている。

 ベルトラメ局長の言動は13日以降連日報じられ、市警総監のマルタ・ロッシャ警部と共に制圧地区視察の折りも、車で通りがかった女性から賛辞を受け、列なす住民からも万雷の拍手で迎えられたという。
 14年のW杯や16年の五輪開催会場でもあるリオ市の治安確保は、州保安局や警察当局に課せられた最大の課題で、連邦政府も協力を惜しまない。その証が、昨年のアレモン地区や今回のロッシーニャなどの制圧作戦への海軍戦車などの派遣で、市内各所を支配する麻薬密売組織解体作戦の様子は、世界中のメディアも大々的に扱った。
 アレモンやクルゼイロなどはコマンド・ヴェルメーリョ、ロッシーニャなどはアミーゴス・ドス・アミーゴスが支配していた地域で、組織解体に不可欠な、組織関係者や組織間の動き、密売者と癒着する警官などの情報入手は容易ではない。
 そういう意味で、治安確保と警察の信頼回復につながる情報を提供するなら、10日に逮捕された〃ロッシーニャの王〃ことアントニオ・ボンフィン・ロペス(通称ネン)の減刑請求もありうるとの14日の局長発言は、リオの治安確保の困難さも暗示している。
 制圧地域にも連日出向き、軍警特殊部隊との情報交換などにも努めるベルトラメ氏は15日、州政府は麻薬密売組織解体作戦と並行しミリシア対策も実施中と発言。
 ミリシアは、警官や消防士、政治家らも絡み、ガス販売、不法TVやラジオの放送権などを支配し、警備の名で金を請求する一方で殺人なども行う犯罪組織で、麻薬密売組織解体後の地域への進出を恐れる声も出ている。16日付エスタード紙によれば、局長は、性格上、ミリシアは麻薬密売組織より解体が困難と見ているようだ。
 ネンに対する減刑は司法側が判断する事だが、ロッシーニャなどのファヴェーラでは、密売者や武器、麻薬などの情報提供を呼びかけるビラ配布などもあり、制圧作戦後の電話やメモによる情報提供は従来の38倍。
 警察はこれらの情報を基に捜索中で、同地域の不動産は治安回復で価値上昇などの予想が広がる一方、なすべき事は山積みというのが実態だ。
 17日付フォーリャ紙によれば、サンパウロ州の連警幹部が、14年のW杯のような国際イベントには要人も集まるため、テロ発生の可能性も高まると警告。資金洗浄などの犯罪も増加する可能性がある大型イベント前までにリオ平定という、行政と市民共通の願いの実現は、ベルトラメ氏ら治安担当者の肩にかかっている。