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【第57回レジストロ灯ろう流し】2500基が幽玄の世界演出=水害被災市民に共感広がる=「先祖考えるイベントに」

ニッケイ新聞 2011年11月19日付け

 ブラジルのお盆にあたる「死者の日」(Finados)にあわせて行なわれる『第57回レジストロ灯ろう流し』が1、2日の両日に催され約1万人(主催者発表)がベイラ・リオ広場に足を運んだ。レジストロベースボールクラブ、同文協、同市、日蓮宗恵明寺の共催で行われる同イベントでは、追悼法要に加え、太鼓や盆踊り、食など日本文化を伝える場として地元にしっかりと根付いている。来場者は思い思いに楽しみながら、会場脇に流れるリベイラ川を照らす2500基の灯ろうの幽玄な光景に見入っていた。

 「忙しいとばかりいう昨今だが、足を止めて先祖のことを考える時間が必要。その象徴としてこの催しを続けていきたい」—そう金子国栄文協会長は強調する。
 今年は7月末から8月初旬にかけて同地を襲った大雨により多くの家屋が洪水に見舞われ、同月に予定されていた平和灯ろう流しが延期にされた他、川辺の町ゆえに甚大な被害を受けた。そのため今回の灯ろう流しは例年以上に市民全体の先祖の苦労を思い、水難の恐ろしさを再確認するものとなった。
 午後5時頃から川を清めるため船が上流と下流を往復した。太鼓を鳴らし、恵明寺の石本妙豊住職ら僧侶による読経が遠くに響いた。
 続く水難犠牲者・先没者追悼合同供養では慰霊碑の前に日蓮宗、生長の家、レジストロ本願寺、立正佼成会が宗派を超えて集い、追悼法要を行なった。サンドラ・ケネディ同市長も参列し、焼香に列が出来た。
 対岸では夕方から灯ろうを流す準備がボランティア達によって開始。豪雨による川の氾濫でえぐりとられ、崩れてしまった川岸を慎重に歩を進めて川面に降りた。
 先祖の名や南無妙法蓮華経の文字が書かれた2500基の灯ろうに火が灯され、静かに浮かべられた。流れに乗った灯ろうは川全体に広がり、来場者は岸に近寄ると、色とりどりの光に照らされる水面に見入っていた。
 レジストロに住む荒崎清一さん(82、二世)は「両親の墓参りの後は毎年ここに来ます。何を考えるでもなく美しさにひかれて」とつぶやく。
 日没が過ぎると会場では食に人気が集まった。2日間を通して文協、リベイラ川沿岸日系団体連合会(Fenivar)などがバンカを出展。マンシューバの刺身のほかヤキソバ、天ぷらなどを求め、身動きがとれないほど行列ができていた。
 前日に引き続き、レジストロ涼風太鼓による和太鼓演奏や盆踊りなどで会場は盛り上がり、午後10時頃に打ち上げられた花火が閉幕を告げた。
 近隣パリケーラ・アスー市から墓参りの帰りに初めて訪れた山本耕司さん(69、東京)、エレナ(62、二世)さん夫妻は「これ程大きな催しとは知らなかった。賑やかなほうが先祖も喜ぶかしら」と和やかな笑顔を見せていた。