ニッケイ新聞 2011年11月22日付け
国威を懸けた新幹線は、早くも衝突事故を起こし、自慢の北京〜上海も時速350キロから「安全第一」とかで300キロにと散散たる中国だが、それでも経済成長率は高い。とりわけ軍事費の伸びは1年に10%超と凄まじく、海軍も既に空母の時代に入っているし、日本領海付近にも中国原潜が出没、南シナ海も「危険海域」▼あの海は航路として大切なところであり、ある国が軍事力を背景として占有するようなことになれば、世界の国々に重大な悪影響を与えるのは目に見えている。ところが、中国は強力な海軍の力で幾つかの島々を「中国領土」と占拠し、比やベトナム、インドネシアなどと紛争になっている。尖閣諸島ではないが、中国はとにかく—あの国の沿岸にある島嶼は「みんな中国の物」と一人合点し、物議を醸しているのはご承知の通りである▼だが—世の中、そんなに甘くはない。今バリ島で開かれたASEAN首脳会議でも、南シナ海の問題が討議されたし、アメリカのオバマ大統領は豪州議会で演説し「アジアを最優先とする」外交方針を訴えたが、これが中国牽制であるのは云うを待たない。オバマ氏は海兵隊を豪州に配備することでも合意しているし、アジアの政治・軍事的な地図は大きく変わる▼今や米国債保有が世界一になり、世界2位の経済大国になった中国ながら新幹線にしても原発計画にしても、先端国からの技術を組み合わせただけなのであり、眞の「技術」とは遠く、陸海空の軍事力だけが強くなった「巨大で歪な国」であり、鉄道部の劉部長の汚職にまみれた国家と見ることもできる。(遯)