ニッケイ新聞 2011年11月25日付け
ジウマ政権で2度目の第2次経済活性化計画(PAC2)経過報告が22日に行われ、9月末までの資金投入額は1436億レアルで、計画全体の14%に当たる事業完結とミリアン・ベウキオル企画相が報告した。
23日付伯字紙などによると、9月末までに投入された資金は、2014年までの予定で組まれたPAC2予算の15%に当たる額。政府関係者は、同計画に、国際的な危機の影響を受け始めた経済成長を刺激する効果を期待している。
2007年にルーラ政権の目玉政策の一つとして導入されたPACは現在第2段階で、政府や公団、公社、民間からの資金によって動く企画は、交通、エネルギー開発、市街化、全戸への電気普及計画など、幅広い分野をカバーする。
6月末までの支出は864億レアルに対し、9月までの投資額は66%増え、9カ月累計では、2010年の実績を22%上回るという。
9月までに完結した事業は、494キロの自動車道、六つの空港と五つの港の整備で、計画全体の14%に相当。企画相によれば、事業全体の72%は進捗状況が適正、10%は遅れが出、4%は非常に遅れている状況だという。
国際的な景気減速のあおりを受け、第3四半期の経済成長はほぼ0%、通年でも3%台との見通しが強まる中、政府としては、経済活性化計画との名に恥じない公的資金の投入を行い、来年度の経済成長率を5%台に戻したいところだが、財務省関係者によれば、少なくとも2011年に関しては、経済刺激効果が余り出ていないという。
というのも、持続可能な経済成長のために導入されたというPAC2の収支報告には、ルーラ政権時代に完結し、支払いも終えているはずだった事業経費161億レアルが含まれており、346億レアルの11年分予算に対し216億レアルと報告された政府支出中、本当に今年分と言えるのは55億レアルのみ。
また、投資額は昨年同期比22%増との数字には、投資そのものとはいえない持ち家政策〃ミーニャ・カーザ、ミーニャ・ヴィダ〃関連経費も含まれており、実際には昨年同期比14%減となるとの声もある。
また、当初は2009年完成予定だったリオ〜サンパウロ市〜カンピーナス間を結ぶ高速鉄道も進捗状況が適正とされたのは、完成予定を2012年に延長したためで、実際には12年の完成はおろか実行さえ疑われる同計画を適正と評価した事も帳尻あわせといえそうだ。
ルーラ前大統領から〃PACの母〃との称号を受けたジウマ大統領と統括責任を任された企画相にしてみれば順調と言いたい同計画だが、汚職事件のあおりで遅れが出た事業などもある同計画の資金を調達し、真の意味の経済刺激、活性策とするのは容易ではない。