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無実の罪で19年投獄=完全無罪証明の夜に急死
ニッケイ新聞 2011年11月25日付け
無実の罪で19年刑務所にいた男性が、名誉毀損による賠償金の裁判で勝訴した翌日未明に息を引き取ったと24日付エスタード紙が報じた。
亡くなったのはペルナンブーコ州レシフェ在住のマルコス・マリアノ・ダ・シウヴァさん(63)だ。
シウヴァさんは1976年に殺人容疑をかけられ逮捕された。82年に真犯人が逮捕されたため釈放されたが、刑務所での生活は6年に及んだ。しかし85年、トラックを運転中、警官に呼び止められ、脱獄犯として再逮捕された。これは、警察当局とペルナンブーコ州政府との間の情報の行き違いによるものだったが、無実を証明するのに13年の月日を要してしまった。
この2度目の牢獄生活中に結核を患ったシウヴァさんは、刑務所内で起きた暴動鎮圧のために使われた催涙ガス弾の破片が目に刺さって失明するという不運にも遭遇。私生活では妻と11人の子供にも見放された。
98年に釈放されると、世論の後押しもありペルナンブーコ州に名誉毀損の賠償金を求めた裁判で勝訴し、2009年に請求額の半額にあたる100万レアルの支払いを受けていた。
そして、残りの100万レアルの支払いをめぐる裁判も、22日午後3時に勝訴。だが、翌23日未明、睡眠中に心筋梗塞を起こし、購入した新居と再婚した夫人を残して急死した。
「自らの完全無罪を証明するのを見届けることができたことで、安らかな気持ちで息を引き取ることができたのでは」とシウヴァさんの担当弁護士は語っている。