ニッケイ新聞 2011年11月26日付け
サンパウロ州検察局が24日、サンパウロ市での環境車検を巡る不正疑惑でカサビ市長らを起訴し、市長の即時更迭や関係者の資産差し押さえなどを請求したと25日付伯字紙が報じた。
同市登録の車両に対する環境車検は2008年に導入され、料金徴収も翌年から開始されたが、計画そのものは1994年立案で、翌年の入札で担当に決まったのがControlar社だ。
検察によると、同社との契約は捏造された資産報告などを前提に行われた上、車検開始前に再入札をとの指示やControlar社の業務遂行能力を疑う会計検査院の指摘を市が無視したまま車検を開始。61・98レアルという料金も実態以上の高額だという。
また、同社の経営権は2009年に1億7370万レアルでCCRに売却されたが、交渉開始は選挙年の08年。CCR主要株主のカマルゴ・コレアとセルヴェングの建設会社2社は、08年選挙で、カサビ氏に300万レアルと120万レアルの寄付を行った。
環境と人命の保護が旗印であるはずの環境車検は、検察官が「どこが問題かと聞かれたらすべてと答える」というほど疑惑に満ちており、実際にはControlar関係者の懐を肥やしただけだという。同件は公職者も含む組織犯罪とされ、検察は、捜査妨害回避のためにはカサビ市長の職権を直ちに停止する事が必要と判断した。
検察は、市長更迭と共に、同市長や環境局長、関連企業6社と企業家13人などの資産の差し押さえも請求。差し押さえは、違法な契約でサンパウロ市に与えた損害と、車検費用や車検を理由に科せられた罰金など、総額10億5500万レアルの払い戻し請求分の資金確保が目的だ。カサビ市長と環境局長には最長8年の政治活動停止などの処分も請求されている。