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W杯工事=2年で20億レの経費増加=自治省巡る疑惑も再燃=高速バスを鉄道に=最終責任は誰の手に?

ニッケイ新聞 2011年11月29日付け

 14年のサッカーW杯関連工事費が、2010年1月の試算額から20億レアルも増額していると28日付エスタード紙が報じた。増額分にはマット・グロッソ州での交通手段変更による7億6千万レアルも含まれているが、同件では自治省内での書類粉飾が報じられ、物議を醸している。

 W杯前の工事には、競技場の改修や建設から、空港その他の整備などが含まれるが、2年足らずの間に20億レアルの予算増額は、政府のコントロールの範囲を超えた状態といえそうだ。
 増額が最も大きいのは競技場改修・建設費で、既存の競技場改修のはずが新設となり、2億4千万レアルから8億2千万レアルに241・6%増額となったサンパウロ市のような例もあるが、7市で見られた交通網整備費増額では、マット・グロッソ州クイアバでの高速バスから軽量鉄道車両への変更による7億レアルの増額が突出している。
 問題となったクイアバでは、昨年まで高速バス路線新設だった計画が軽量車両導入に変更され、その予算も、4億8900万レアルから12億レアルに跳ね上がった。
 しかも、24日付エスタード紙によれば、この変更は、自治省の技術担当者が軽量車両の導入には問題点が多く、高速バス利用を維持すべきとした報告書が、同省内部の人間の手で粉飾された上で承認されたという。
 粉飾は、プロジェクト主任のクリスチーナ・マリア・ソージャ氏と市街化計画担当ディレクターのルイザ・ゴミデ氏の手で行われ、技術担当官が作成した報告書の22項以降をまるっきり反対の内容に書換え、元の報告書と同じページと差し替えたというもの。
 25日付エスタード紙によれば、粉飾の指示はマリオ・ネグロモンテ自治相の右腕とされるカシオ・ペイショット秘書室長から出ており、軽量車両への変更は、8月9〜11日にシウヴァウ・バルボーザ州知事がミシェル・テメル副大統領、ネグロモンテ自治相、グレイシー・ホフマン官房長官と話し合ったものだ。
 ところが、これに先立つ8月8日に軽量車両へに変更は望ましくないとの報告を提出したのが自治省のイーゴル・ゲーラ技師。国庫庁も計画変更は承認し難いとの報告書をまとめた事を知る同氏に報告書改ざんの要請があったのは9月8日。粉飾された報告書には要請が拒否された同日付で書き直されたページが組み込まれ、1カ月後に計画変更が承認された。
 自治相は25日のバイア州でのイベントで自分自身の関与を否定し、メディア攻撃も行ったが、検察庁と州検察局は協同で捜査を開始。ジウマ大統領は自治相擁護の姿勢を見せ、少なくとも1月の人事再編成までは閣僚は交代しない意向と見られているが、市街化計画などを担当する自治省内での疑惑解明となれば、工事の差し止めや人事異動の可能性も否めない。