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リオのファヴェーラ=制圧1年後のアレモン地区=ファヴェーラの希望と闇=警察による不祥事も浮上

ニッケイ新聞 2011年11月29日付け

 リオデジャネイロ州最大のファヴェーラのひとつ、アレモン地区の警察による制圧から1年が経つが、この地域に企業が目をつけ新たなビジネス展開が期待されている一方で、犯罪が減らず、警察が麻薬組織から多額の金額を横領している疑惑があると、26〜28日付伯字紙が報じている。
 今日で制圧後1年を迎えたアレモン地区では治安面での改善が見られ、車強盗の数は前年比49・1%、警察が正当防衛などで殺害した犯罪者の数も50%減少するなどの効果をあげている。
 だが一方、殺人事件の数は23日までに43件で、制圧前の12カ月間の50件とほとんど変わらない。同地区住人の一人は「以前は強盗が麻薬密売人に殺されていたが、現在は警察の警備が甘く、窃盗が増えている」と指摘している。
 また、かつては「生き延びるためには密売組織に入るしか道がない」と言われていたファヴェーラ、シダージ・デ・デウスでは、警察による制圧後、消費の可能性を求めて商売を始めようとする人や企業が増えているという。昨年6月以降、平和駐留部隊が設置され、治安が回復した8地区で職業訓練などを行っているリオ飲食店協会(SindRio)では、職を求める住民約600人の履歴書を受け取り、既に400人が仕事の斡旋を受けているという。
 また、食品会社のネスレが70人の労働者に対し、菓子販売に関しての研修を始めており、食品大手のバーガーキングでも、SindRioの職業訓練を受けた150名を採用したという。
 一方、リオ市内やその周辺の治安確保はいろいろな課題を残しており、26日付伯字紙は、同州サンゴンサロ市の軍警警察官22名が密売人から金を横領していたことが判明したと報じている。
 8月には同市の裁判所に勤務していた判事のパトリシア・アシオリさん殺害事件も起きている。
 連邦警察がサンゴンサロ署を取り調べたところ、賄賂の価格を書いた掲示板があり、500レアル〜30000レアルで密売人と取引し、取引額が合意に満たなかった密売人は殺害していたという。また、2人の警官がアシオリ判事殺害に関与したことも認めた。
 また、サンゴンサロ署の捜査では、サンパウロ州リベロン・プレットの州都第一コマンド(PCC)からの武器や麻薬供給があったことも判明しており、警察と麻薬組織の癒着問題解決が大きな課題だ。