ニッケイ新聞 2011年12月1日付け
90年代から2000年代のブラジルサッカーを代表するエース・ストライカーだったロナウドが、ブラジル・サッカー連盟(CBF)のリカルド・テイシェイラ会長から、14年ワールドカップ現地組織委員会(COL)の要職就任を要請されたことが明らかになったと、11月30日付伯字紙が報じている。
ロナウドは11月29日、エスタード紙の取材に対し、「まだオファーを受けたわけではない」としながらも、「仮に受けたならばそのときに全てを話す」とし、引き受ける用意が出来ていることを伺わせた。また、テイシェイラ氏は滞在先のスイスのチューリッヒから今日帰国し、公式発表を行うと見られている。テイシェイラ氏は8月中旬からロナウドと交渉を続けていた。
ロナウドに要請されているのは、現状では委員長職とも、ご意見番的役割とも目されているが、このポストは、70年代のドイツ代表主将のベッケンバウアー氏や80年代のフランス代表の司令塔プラティニ氏という、サッカー史に残る名選手が引き受けたものと同様のものになると言われている。だが、仕事の内容をめぐる予想は伯字紙でも割れている。エスタード紙はベッケンバウアー氏のような親善大使的役割としているが、フォーリャ紙は、ロナウド自身は知名度を利用した仕事よりも権威のある立場を求めており、現在は欧州サッカー連盟会長の地位に就いたプラティニ氏のような実務型の役割を望んでいるとしている。
また、このロナウドの起用に加え、テイシェイラ氏は先週、コリンチャンスのアンドレア・サンチェス会長をCBFの理事に電撃的に氏名し、ブラジルサッカー界を驚かせたばかりだった。
これら一連のテイシェイラ氏の行動は、8月にペレを政府公認の名誉大使に指名したジウマ大統領との関係修復の意図もあるが、それと同時に、2015年の国際サッカー連盟(FIFA)会長選挙をめぐって対立している、現会長のジョセフ・ブラッター氏への牽制の意味が込められていると見られている。テイシェイラ氏は90年代にFIFAの関連企業からの収賄疑惑でFIFAならびに連邦警察から調査を受けており、ロナウドに注目を集めることで、自分自身に対する世間の目をまぎらわすためではとも言われている。