ニッケイ新聞 2011年12月9日付け
国家衛生監督庁(Anvisa)が7日、2010年に行った残留農薬検査で28%の食品から基準値以上の農薬や種にそぐわない農薬が検出されたため、監査強化に向けた計画を発表したと8日付エスタード紙が報じた。
残留農薬検査の結果は7日付フォーリャ紙でも報じられたが、2010年の場合、サンプルの野菜や果物の27・9%から基準を超える量や不適正な種類の農薬が検出され、不合格率が増えた野菜もあったという。
2010年の検査対象は19品目で、不合格率が最も高かったのはピーマンの91・8%。2年前の不合格率65%を大きく上回った。
以下、不合格率30%超だったものは、イチゴ63・4%、キューリ57・4%、アルファッセ(レタス)54・2%、にんじん49・8%、アバカシ(パイナップル)32・8%、ベテハバ(ビーツ)32・6%、コーベ31・9%、マモン30・4%。
一方、不合格率が割りと低かったのは、トマト16・3%、ラランジャ12・2%、リンゴ8・9%、米7・4%、フェイジョン6・5%、キャベツ6・3%、マンゴ4%で、ジャガイモは農薬検出ゼロだった。
衛生監督庁が最初に残留農薬検査を行なった時に不合格となったサンプルは22・2%だったというから、農薬使用の実態は悪化したのではとの懸念が広がるが、担当者によれば、不合格とされたサンプルには品目にそぐわない農薬を使用している例も多いという。
これは複数の作物を栽培する農家が、経費を節約するために、安い方の農薬を複数の作物に使用する、栽培している場所が近くてかかってしまったなどの事情を反映。
病気の蔓延や虫の害、カビの発生を防ぐための農薬は、各品目に応じたものを適量使用すべきだが、小規模農家などではコントロールが困難な例もあるようだ。
また、欧米では使用が禁止された農薬がブラジルに輸入されているという情報も気にかかる。
残留農薬を含む食品の長期消費や成分そのものが体内に蓄積されやすい場合は、免疫機能の低下やホルモンバランスの崩れ、妊娠率低下の他、未熟児や奇形児誕生、神経障害やガンの発生などの健康被害が生じる可能性もあり、野菜や皮の薄い果物は石鹸や中性洗剤を使って洗う、外側の葉は外す、皮を剥いて食すなどの自衛策も必要だ。
衛生監督庁の検査は全国レベルで行われるが、唯一の例外はサンパウロ州。同州では独自の検査を行なっているからというのがその理由だが、サンパウロ州での検査項目は、米とフェイジョン、ラランジャの3種のみだ。イチゴの五大産地であるサンパウロ州の場合、残留農薬検出で農家に影響が出る事を懸念している可能性もあるが、衛生監督庁は全国のスーパーなどでの監査を強化する意向で、2013年実施に向けて準備を始める。