ニッケイ新聞 2011年12月10日付け
南アフリカで開催されている国連気候変動枠組み条約第17回締約国会議(COP17)で8日、イザベラ・テイシェイラ環境相が、ブラジルも温室効果ガスの排出削減義務を受け入れる意向を表明し、2012年末で期限が切れる京都議定書以後への動きがより具体化していると9日付エスタード紙が報じた。
今回のCOPでは、温室効果ガス排出量で1、2位を争う中国と米国も削減義務受け入れに肯定的な発言をしており、ブラジルの義務受け入れ表明と共に京都議定書後への動きを加速化させた。
主要先進国の温室効果ガス排出削減を謳う京都議定書は、12年末で期限が切れるため、それ以降の削減目標や義務制定が真剣に論じられ始めたのは、2009年のCOP15。同会議には、当時官房長官だったジウマ大統領も出席し、ブラジルの任意目標を提示して賞賛を浴びたが、京都議定書後を巡る話し合いは、各国の利害が錯綜し、合意締結が遅れていた。
今回のCOPでの話し合いの焦点は、京都議定書の継続の可否とその後の削減目標をいつまでに制定するかだ。、9日午後2時現在のサイト情報では、先進国に削減義務を課した京都議定書を2013年以降も継続させ、遅くとも2015年までに決めた削減目標を2020年以降発効との議長案が出され、会議後の閣僚級非公式協議で大筋合意の見通しという。
今回の会議でイザベラ環境相が示したブラジルの温室効果ガス排出削減目標は、無対策であった場合に到達するはずの排出量の36〜39%を減ずるというもので、09年に提示した任意目標と同じだが、削減義務受け入れの表明は初めて。
今会議では、6日上院で可決され、13日以降下院で再審議となる環境保護法がブラジルの目標達成に逆行するとの見方も出ているが、環境相は、2020年の法定アマゾンの森林伐採を4千平方キロメートルにとの目標は68〜70%達成しており、再植林などが進めば目標達成はもっと容易になると楽観的だ。
排出削減量の表現は各国様々で、米国代表は8日、京都議定書不参加の国は2020年までは任意の削減目標に従うとの提案と共に、20年までに2005年比17%の排出量削減を目標とすると発表している。
今回の会議の行方は、来年6月に「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」を開催するブラジルには一大関心事。リオ+20は、1992年にリオで開催された「国連環境開発会議(地球サミット)」から20周年を迎えるのを契機に、同会議のフォローアップ会合を行うべく、09年国連総会で決定されたもので、持続可能な開発および貧困根絶の文脈におけるグリーン経済、持続可能な開発のための制度的枠組みがテーマ。各国首脳も出席できるよう、G20首脳会議の折、6月3〜5日だった日程が20〜22日に変更された。