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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2011年12月20日付け

 もう街は歳晩景気であり、商店街は買い物の客で混雑し、イビラプエラ公園や都心には華麗なXマスの飾りが輝き、この1年も暮れようとしている。我らがブラジルは、大臣閣下が6人も、不透明なカネの流れで辞任という情なさながら—ジウマ大統領の人気は高い。それにしても、この国の汚職大国ぶりは、どうやら国が始まって以来のものらしく清貧王国にはとてもとても▼日本の野田政権も、決して安泰とは申しかねる。首相の主張する消費税の10%増税とTPP(環太平洋経済協定)参加の方針は、正しい選択ながら—間違いなく新年の大きな政治課題になる。日本の財政事情は厳しく、国債などの借金は1千兆円に達しており、もう救いようがない事態になっている。社会保障などの予算捻出もきつく今のままでは先行きは不安ばかりだし、老人らもとてものほどに「楽しい夢」は描けない▼ところが、民主党の最大勢力を誇る小沢一郎氏は「絶対反対」と叫び政権と対立する。TPPにも農林大臣と農協勢力は「猛反対」だ。この協定は9カ国が貿易などの関税を全廃する趣旨のものであり、当然ながら「コメ」も対象になる。そうなれば、安い外国米が輸入され、日本の「コメ」は壊滅的な打撃を受けるの主張だが、経済的に見れば、貿易額の方が比較にならないほどに巨大な金額だし、財界の「大賛成」も当たり前なのである▼大震災の復興や原発事故の難しい課題もある。防衛相らへの問責決議については、首相が「交代」を示唆しているが、参院の「ねじれ」は続き、政治の安定は難しいのが本当のところではないか。(遯)