ニッケイ新聞 2011年12月21日付け
11月に起きたフラーデ油田での原油流出に続き、リオデジャネイロ州南部のイーリャ・グランデ湾で石油掘削船からの油流出が16日に起きたと、19〜20日付で伯字紙が報じた。
19日付エスタード紙によると、今回の油流出は、イーリャ・グランデ(グランデ島)とパラチー市の間に位置するMODEC社(三井海洋開発)管轄の石油プラットフォーム、シダージ・デ・サンパウロで起きたもので、掘削船は10〜15年前に造られた中国製であったという。
リオ州の連邦警察環境課が18日の朝発表にしたところによると、流出量は1万リットルで、11月7日に米国のシェヴロン社がフラーデ油田で流出させた40万リットルに比べると小規模なものだという。
油の塊は三つ生じ、うち二つがリオの浜辺に向かって流れている。そのうちのひとつはコスタ・ヴェルジ・フルミネンセ(リオ州南部海岸)の主要都市アングラ・ドス・レイスの中心から2・5キロ離れたボンフィン海岸に流れ着いた。同海岸はビーチバレーなどが盛んな人気の海岸エリアとして知られている。
また、全長150メートル、幅200メートルの塊は、カルドーゾ元大統領やルーラ前大統領が夏の保養地としても利用したレスチンガ・ダ・マランバイアに向かって接近しつつある。また、全長1500メートル、幅150メートルの塊はグランデ島の外海に向かって流れているという。
だが、18日夜には、MODECが油流出に関しての正式発表を行い、油の種類は原油ではなく燃料油で、当初1万リットルといわれていた流出量は水も混じった状態で4400リットルと修正した。油そのものは2千リットル以下という。また、19日には、ボンフィン海岸に達した油の塊は、シダージ・デ・サンパウロから漏れた油とは異質のものであるとの確認もされた。
フラーデ油田の流出、マラニョン州で鉄鉱石用貨物船の船体の亀裂事故につぐ、2カ月で3件目となる海洋汚染事故が発生したことで、こうした事故への対策が急がれるが、気がかりなのは生態系への影響だ。11日のエスタード紙によると、サンパウロ州の海岸地域の52%が石油流出の際のダメージを最も受けやすいというデータがサンパウロ州立大学(UNESP)の調べで発表されている。