ニッケイ新聞 2011年12月27日付け
全国工業連合/ブラジル世論調査・統計機関の調査によると、ジウマ政権初年は、フェルナンド・カルドーゾ・エンリッケ元大統領やルーラ前大統領の時より高い評価を受けていると17日付伯字紙が報じた。
全国142市、2002人を対象に行った聞き取り調査によると、現政権は良い/最良と答えた人は56%で、FHC政権初年12月の43%やルーラ政権初年3月の41%を上回った。
ジウマ政権は良い/最良と答えた人の割合は、3月と12月が56%。9月は51%と一時低下したものの、その後2人の閣僚辞任を経ても支持率が上がっている。普通との回答は32%、悪い/最悪は9%で、統計上の誤差は2%ポイント。
FHC政権初年の支持率は41%、40%、43%、ルーラ政権初年のそれは51%、43%、41%だから、ジウマ政権の初年は年間を通し、前任2人の政権初年評価を上回った事になる。
また、大統領に対する支持率も、カルドーゾ氏の57%、ルーラ氏の66%を上回る72%で、支持しないは21%、回答なしは7%だった。
ジウマ政権初年で印象に残るのは、何といっても「汚職」の2文字で、辞任閣僚7人中6人が汚職に絡んでいた事実は、辞任閣僚数そのものと共に特筆される。また、マリオ・ネグロモンテ自治相が1月に閣外に去る事も当然視されている。
大統領の支持率は消費者の信頼指数の高さと連動しており、経済成長を継続させる鍵は国内消費だから積極的に消費をとの呼びかけや個人融資へのアクセス簡便化などが奏功と見られている。
ただ、現政権への評価を項目別に見た場合、肯定評価は飢餓と失業、環境の3項目。その他は、保健衛生67%、税金66%、治安60%、金利56%、インフレ対策52%、教育51%と否定的な評価が多かった。
貧困撲滅を旗印とするジウマ政権が飢餓や失業で高い評価を得た事からも分かるように、前政権の支持率の高さを更に高めた鍵は低所得者層からの支持の高さだ。高学歴者や高所得者ほど支持率が低いのは前政権と同じだが、両者の間の差は縮小。前政権との比較では、前政権の方が良い28%、現政権の方が良い12%、どちらも同じ57%となっている。
また、汚職摘発が繰返されたにもかかわらず、任命責任が問われていないのもジウマ政権の特徴で、非は大臣にありとする国民が大半。カルドーゾ元大統領は、任命した大統領の責任も問われるべきと発言しているが、この考えは学識経験者のみのもので、国民は弱者の肩をもつ大統領に責任があるはずがないと考えているかのようだ。
ジウマ大統領は16日、貧困撲滅政策の総括の場で、貧困にあえぐ人達にとり、2012年はブラジル史上最良の年になると予告している。