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リオ州=グランデ島で土砂崩れ=29人死亡、うち日系3人=観光業に懸念の声も

ニッケイ新聞 2010年1月5日付け

 新年早々の元旦未明、リオ州で悪夢のような土砂崩れ事故が起き、日系人も巻き込まれた。風光明媚な観光地イーリャ・グランデで日系人が経営するポウザーダ山海(Sankay)などを襲った土砂崩れにより、日系人3人を含む多数の死傷者を出した。現場のすぐ横のポウザーダには、リベルダーデから出発した30人の日系団体ツアー客も泊まっており、さらに大惨事になっていた可能性もあった。

 元旦未明、日系ポウザーダ6軒が並ぶリオデジャネイロ州イーリャ・グランデのバナナウ海岸で、年末30日から続いた大雨により土砂崩れが起こった。エスタード紙によれば4日午後3時現在、被害を受けたポウザーダ1軒と民家6軒から日系人3人を含む29人の死亡が確認されている。
 土砂崩れが直撃したポウザーダ山海ではオーナーの娘今西ユミさん(18、三世)、それぞれ民家にいたアングラ・ドス・レイス日系クラブの波田間義男会長の従兄弟波田間ウェリントンさん(23)、旅行に訪れたジョイス・デ・メロ・ヤマトさん(30)らが亡くなった。
 今西さんは、ミナス連邦大学の同級生4人を招き、ポウザーダで休暇を過ごしており、友人2人も死亡。
 ユミさんの祖父を知るリオ州日伯文化体育連盟の鹿田明義理事長も、「あのポウザーダが開かれてから13年間、何も問題がなかったのに」と声を落とした。
 伯字紙では、「歌手を目指していた」と大きく取り上げられ、ユミさんがネット上で公開している歌唱映像が3日夜のグローボ局人気番組「ファンタスチコ」でも放映された。
 波田間さんは同地に住む婚約者を訪ねており、婚約者アリーネ・ペレイラさん(22)も亡くなっている。
 波田間会長は、「事故発生時、同地には多くの日系人がおり、親戚が巻き込まれたという人も多い。皆辛い思いをしている」と心境を語った。
 事故が起こったバナナウ海岸には、沖縄県系人が経営する日系ポウザーダ6軒がある。戦後は盛んにイワシ漁が行われていたが、乱獲で漁獲量が落ちたため、多くがポウザーダに転業していた。
 現地にあるポウザーダ・オキナワのオーナーの娘ウエハラ・デニーゼさんは、ニッケイ新聞の電話取材に応え、「3日に市政府の勧告を受け、一月の予約をキャンセルしてポウザーダを閉鎖した。いつ再開できるか目処は立っていない」と話し、地元観光業に影響が出ることを懸念している。

30邦人もあわや巻き添えに=ツアー参加客「身が縮む思い」

 ポウザーダ山海のすぐ横の「ポウザーダ・ダ・サチコ」には、昨月30日にリベルダーデを出発した吉田ツアーの30人が宿泊していた。
 危機一髪助かったツアー参加者の林由里子さん(61、長崎)と小池誠さん(63、新潟)は、「ドスンと大きな音がして、地震のような揺れが続いた。何が起きたのか全く分からなかった」と状況を語り、「明け方、事故の残骸を見て、身が縮まる思いがした」とその衝撃を話す。
 同ツアーは、その後の全ての日程をキャンセルし1日午後帰聖した。