ニッケイ新聞 2010年1月7日付け
サンパウロ市のカサビ市長は4日、露天商などの無許可営業を合法化し、社会疎外者を登記管理するためサンパウロ市庁に個人経営者課(Semei)を設置、ナタナエル・ミランダ氏を課長に任命と5日付けジアリオ・ド・コメルシオ紙などが報じた。
同活動は、サンパウロ州商業連盟(Facesp)が中心となって行っていた。これまでに3万4千人が登記し、2010年は40万人を目標としている。そのため市が、同活動を公的機関として支援することになった。
ミランダ課長によれば「ブラジル社会は、趣味で働く人と食べるために働く2種類の人がいて、その間に厚い壁がある」という。その壁を取り除くのが、同課長の使命だと考えているようだ。
前者には、人生のレールが引かれている。後者は今日働かないと、明日食べるものがない。家族があれば、一家が飢える。その後者が生活の場所を得る機構つくりが、同課の役目のようだ。
その第1が、手続法の簡略化。現行の手続きは41枚の申請書に必要事項を書き込む。これを10枚にする。難しい単語を排除する。手続き費用で商売をする中間業者を除き、本人が無料で手続きをする。
該当者らが恐れるのは、市の監視下に置かれるのではという疑問。これまで悪質な市監督官が長い間、無許可営業者を食い物にして私服を肥やした悪習があるからだ。市監督官といえば強請りやタカリという先入観があり、疑いが晴れない。
独立経営者法(MEI)は1年以上前に連邦令として制定されたが、サンパウロ市が路上営業を許可しないという矛盾があった。一部の露天商は有力者のコネで営業許可を取得したが、大部分は門前払いをされた。この辺りの疑問は、まだ不明だ。